『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 60歳以降は賃貸が借りられない? 専門家がアドバイス
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2022」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
60代、賃貸物件を借りるのは難しい?!
退職後の住まいに関するご質問のメールをいただきました。
40過ぎてから結婚し、ずっと賃貸暮らし。
二人の子どもがようやく成人したこともあり、
少し狭い家に住みかえようかと考えています。
ところが、いろいろ調べてみると、
この年になると賃貸物件を新たに借りるのは難しいとか。
まだまだ普通に働けますし、勤務先も70歳過ぎても
体の続く限り働いてほしいと言われています。
でも住宅購入するような資金はありませんし、
この年ではローンを組むのも難しいですよね。
日々不安を感じています。
この先どうしたらいいのでしょうか。
家なき爺さん(65歳・練馬区)
まずはリバースモーゲージを考えてみて
まず、「リバースモーゲージ」という言葉をお聞きになったことはありますか。
リバースモーゲージは、住宅ローンが終わった自宅を担保に老後資金を借りる仕組みだあったのですが、日本では、60歳以上の方が新築住宅や大規模なリフォームをするための資金を借りる、住宅ローンの一種として普及してきています。
この仕組みを使ったローンを借りると、支払う必要があるのはローンの金利のみ。
元本は、家のオーナーさんが亡くなったあと、家と土地を売却することでまかないます。
メリットは、
・60歳以上でも大きな金額のお金が借りられる
・返済の負担が少ない
デメリットとしては、
・購入額の半分程度の頭金が必要になる(担保評価が非常に厳しいため。人によっては、相続した家を追加で担保に入れる人もいるほど・・・)
・金利が一般的な住宅ローンに比べると高い。
・相続人がローンを引き継げないと、その時点で家が売られてしまう
といったことがあります。
リバースモーゲージは、ほとんどの銀行が、リ・バース60(住宅金融支援機構)の融資保険制度を使っています。
そのため、どの銀行でも、事務手数料と金利以外の条件はほぼ同じです。
最近ではたくさんの銀行が取り扱うようになっていますので、一度調べてみてください
「サ高住」も視野に入れてみて
さて、リバースモーゲージは物件を購入する場合のお話しですが・・・。
賃貸派を貫く場合、確かに普通の賃貸住宅は今でも、60歳を超えると入居が難しい問題があります。
この問題を解決するために、サービス付き高齢者住宅(サ高住)という高齢者向けの賃貸住宅制度があります。
サービス付き高齢者住宅(サ高住)っていうと、介護付き老人ホームと同じものと思っている人が少なくないのですが、実は、かなり範囲が広いんですよ。
お昼に見守りサービスが行われるだけで、どっちかというとシニア向けマンションに近いものもあれば、
実体は介護付き有料老人ホームと全く同じものもあります。
「サ高住」と有料老人ホームの関係は?
少し細かいことをお話しすると、
サービス付き高齢者住宅(サ高住)を名乗るためには、
・規模や設備の条件(バリアフリーなど)
・見守りサービスが存在すること
・契約に関する基準が一定以上であること(長期入院などを原因に契約の解除ができないなど)
という三つの条件を満たしている必要があるのですが、
これに加えて、
・食事の提供
・介護の提供
・家事の供与
・健康管理の供与
のうち一つでも実施がある場合「有料老人ホーム制度」としても扱われることが法律上定められています。
サ高住が有料老人ホームと同一視されるのには、このような理由があるのです。
60代以降は賃貸物件が借りづらくなることも
実はサ高住はもともと、メールをお寄せいただいた「家なき爺さん」さんが抱えていらっしゃるような、「老後、どこからも入居を断られ、住む家がない」という不安に対応する制度として生まれてきたものです。
国は2001年(平成13年)に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」という法律を作り、対策を講じてきました。
当初は「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」など、さまざまな高齢者向け賃貸住宅の制度があったのですが、
2011年(平成23年)になって、「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」として一本化されたのです。
インターネットでも情報が確認できます
さて、お近くのサービス付き高齢者住宅(サ高住)を利用されたい場合、「サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム」というページが参考になります。
日本中のサービス付き高齢者向け住宅が検索できます。
検索の際は、
・エリア
・賃料
・面積
・住宅戸数
・提供しているサービス
・入居者の要介護度別割合
など、さまざまな条件を付けることができますから、一度、検索をされてみてください。もしかすると、希望にぴったりの家が見つかるかもしれませんよ。
そんなわけで今回は、60歳以降に住む家について考えてみました。
メールいただき、ありがとうございました。
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介してい
ます。必ず最新の情報をご確認ください。
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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