『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 いい家ほど、安くなる? 残価設定型住宅ローンを解説
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2022」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
残価設定型住宅ローンの取り扱いが始まりました
私が代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構」が運営する仕組みを使ったローン、残価設定型住宅ローンの売り出しが開始しました。
前回に引き続き、「残価設定型住宅ローン」の特徴を基礎からお話ししたいと思います。
大和ハウスで売り出しが始まった「残価設定型住宅ローン」を解説)
★これまで番組で残価設定型住宅ローンを取り上げた際の記事はこちら!
●定年後は10万円のローンが3万円に? 残価設定型住宅ローンの仕組み
●リ・バース60と残価設定型住宅ローン。新しい住宅ローン二つの特徴を解説
20年目からオプション利用可能な理由
前回、残価設定型住宅ローンのオプションが利用可能なのは、ローンを借りて20年目ごろというお話をしました(※具体的な残価条件は住宅と借入れ額や金利等で変わります)。
実は「20年目」という設定をしたのには理由があります。
というのも、住宅ローンを借りられる方の年齢は、平均して35歳ごろ。
20年目は55歳ごろになるわけですが、この時期って、人生の中でも大変なことが連続して起こりやすい時期なんです。
まずは役職定年などによる減収。
日本の賃金平均のグラフを見ていると、55歳前後でガクンと下がっていることが多いんです。
それから、お子さんの進学や、ご両親の介護が始まる方、もしくは、そのどちらもが同時に始まる方も結構いらっしゃると思います。
人生100年時代、家の相続はしづらくなった?
「人生100年時代」なんて言葉をよく耳にするようになりましたが・・・。
統計を見てみても、実は日本人女性のうち、50パーセント以上が90歳以上まで生きることが分かっています。
たとえば、あなたのお母さまが、残念ながら90歳ごろに亡くなったとしましょう。あなたは60歳前後でしょうか。
60歳。もうライフスタイルも確立し、子供も独立している年齢です。
そんなタイミングで実家を相続したとして・・・それって、嬉しいか?! という問題、あると思いませんか(笑)。
現代のライフスタイルに、住宅がうまくマッチできなくなってしまっているのです。
目指すは、しがらまない家・ハウジングフリーダム
一方、だからといって「生涯賃貸でいい」と割り切れるかと言われると、やっぱりマイホームを持ちたい方は多いはず。
それにそもそも、年金暮らしになったら、賃貸の審査に通るかどうかも分かりません。
というわけで、自分の理想の家に住みながらも、人生の転機には、家が足枷にならないようにする。
そんな家からの自由、「ハウジング・フリーダム」が得られる住宅を、残価設定型住宅ローンという一つの金融技術で作っていければ・・・と考えています。
人ではなくて、家にローンを融資する
ちなみに・・・そもそもの大前提なのですが、このローンが使える住宅は今のところ、「認定長期優良住宅」など品質の高い住宅で、移住・住みかえ支援機構が認めたハウスメーカーで建築したものにかぎっています。
というのも、残価設定型住宅ローンが重視するのは、人ではなくて家。
20年後も売却や賃貸に出せる品質の家か? ということが最も重要なわけです。
家が将来いくらで「売れるか」を予想することは非常に大変です。
しかし、いくらで「貸せるか」は、過去の統計をみるかぎり、かなり確実に予想できるのです。
認定長期優良住宅はまさに「長く貸せる住宅」なので、そうでない住宅にくらべて、単純に価値が高くなります。
JTIだからこそ可能なデータの蓄積
移住・住みかえ支援機構は、これまで借上げ制度を10年以上にわたって運用してきました。そのため、個別の住宅が「実際に貸せるか」を、データに基づいて判断することができます。
そのため、長期優良住宅の高い価値を「見える化」した上で、あらかじめ保証できるようになったわけです。
・・・これまでの住宅ローンは、人の審査をしましたよね。正社員か、収入はあるか、継続して勤務しているか、というように。
実は、この「人ではなく家にお金を貸す」という仕組みが、かなり画期的なことだと個人的には思っているのですが、いかがでしょうか(笑)。
現在は大和ハウスのみですが、今後どんどん増えていきます
今のところ、残価設定型住宅ローンが適用できるのは、大和ハウスで建築された住宅のみなのですが・・・。
これから、どんどん取り扱いメーカーさんは増えていく予定ですので、続報をお待ちください(笑)。
そんなわけで、残価設定型住宅ローンについてお話ししました。
これまで番組で残価設定型住宅ローンを取り上げた際の記事はこちら!
定年後は10万円のローンが3万円に? 残価設定型住宅ローンの仕組み
リ・バース60と残価設定型住宅ローン。新しい住宅ローン二つの特徴を解説
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お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…