日本一やんちゃな野球中継は、日本一野球が大好きな野球中継だった!
4月12日放送のライオンズナイターでは、斉藤一美アナウンサーの実況(とりわけ絶叫)がライオンズナイターとして6シーズンぶりにベルーナドームに帰ってきた。
斉藤一美アナに、ベルーナドームでの実況を終えた心境や魅了された選手の話などを語ってもらった。
こんばんは!斉藤一美です!を忘れてしまった
斉藤一美アナウンサーに、ライオンズナイター復帰2戦目を終えた心境を訊いてみると、第一声で「ふわふわしてました」と意外な言葉が帰ってきた。
なぜ”ふわふわ”していたのか
「待ちに待ったベルーナドーム。実家に帰ってきたような気分だったが、プレーしている選手が6年前と違う。ファイターズのユニフォームも違う。放送席もリニューアルされていた。色々なものが違っていたので、今思うと”ふわふわ”してたな」という。
一美アナが”ふわふわ”してたと振り返る理由が「第一声で『こんばんは!斉藤一美です!』という挨拶を忘れてしまった。挨拶を忘れたのは初めてだった。中継の前枠12分間1回も名前を言わずに、18時の中継が始まってからようやく名前を名乗った」と、恐らくはほとんどの人が気づいていないであろう事実を明かしてくれた。
ただ一美アナは挨拶を忘れてしまったことで新たな発見があったという。
「twitterのつぶやきで『一美さん挨拶してないじゃん』とつぶやいている人がいなかった。なので、最初に挨拶しないパターンで良いリズムが作れるならそれもありかなと思った」と教えてくれた。
そういったことも含め一美アナは「常々、野球中継の常識、ステレオタイプみたいな部分は極力変えてもいいんじゃないかなと思っている。ちょっと1回試させてと思う部分が結構ある」とのこと。
こういったところが、今回の中継で一美アナが初めて経験した局間ネット(他局の実況中継をそのまま流す放送)につながることとなる。
吼えろ!STVファイターズライブ 叫べ!文化放送ライオンズナイター
一美アナがライオンズナイターを離れてる間に、ライオンズナイターでは局間ネットというものが始まった。この試合でいうと、一美アナが実況している音声が文化放送とSTVラジオに流れているという状態だ。ライオンズナイターでありながらSTVファイターズライブでもある。
そんな局間ネットについて一美アナは「ライオンズナイターを離れている間に社内で聴いていて、なんでこれライオンズびいきしてないの?と古株のディレクターに聞いたら『今、局間ネットというのをやっていて、札幌や九州、仙台にも同じ音が流れているんですよ』と教えてもらい、それじゃあ中立になってしまうよなと思っていた」とのこと。だがこの”中立”について「かつてNRNナイターを実況している時に、フラットな中立ではなく、どっちも応援する中立もあるんじゃないかと思っていた。でもその場合絶対条件があって野球が”大好き”じゃなきゃいけない。どのチームにも見どころはある。そういったところを全面に押し出して、中立にするというのを若い頃からやっていた。それを久々にやればいいんだと思った」と一美アナならではの”中立”があることを知り、そのパターンもあるのかと感嘆してしまった。
ただ一美アナは普段のライオンズナイターリスナーへの配慮も忘れてはおらず「ライオンズナイターを聴いている人がライオンズ戦として聴いてくれている訳だから、日頃ライオンズナイターで使っている言い回しは極力使おうと思った。都合のいいことにライオンズナイターのキャッチフレーズは”吼えろ!ライオンズ 叫べ!文化放送ライオンズナイター”と二段構えになっている。今年はさらに付随して〜We Are パリーグピープル〜というのを打ち出しているので、もう全部ひっくるめて我々は同じパリーグピープルなんだよというのを出せるなと思った。それが”吼えろ!STVファイターズライブ 叫べ!文化放送ライオンズナイター”という形になった」とのこと。
局間ネットの際は”独自のキャッチフレーズは使えない”というのが野球中継の常識だったが、これを一美アナならではのアイデアで打ち破ってきた。
また一美アナは選手個人についても「凄い選手は素直に褒め称えたい。そんな凄い選手からライオンズの選手が打った!抑えた!となったら、ライオンズの選手がさらに凄いということにもなる。パリーグにまたヒーローが現れたぞ!この選手すごいよ!というのは球団関係なく伝えていきたい」と言っていて、”野球が大好き”な一美アナにとっては、局間ネットですら”味”を出してしまうのだなと思った。
牧野翔矢は若かりし頃の小笠原道大?
一美アナはここまでライオンズの試合を19試合(4/18時点)を全部見ていて、「知らなかった選手への愛情も湧いてきた」という。その中でも「牧野翔矢から目が離せない」と強い口調で語ってくれた。一美アナはその理由について「4/6の楽天戦。プロ初出場でスタメンマスクを被り、プロ初打席初安打を打った時の事。相手投手岸孝之のカーブをしっかりと引きつけて逆方向に打ったあのスイングに魅了された。その後盗塁のサインを出されて2塁へ走った。炭谷銀仁朗が素晴らしい送球をしたので2塁タッチアウトになってしまったが、少しでも送球が逸れたりキャッチャーが握り損なっていたら間違いなくセーフだった。岸ー炭谷のバッテリーからあわやセーフの走りだった。盗塁は失敗してしまったけれど、初ヒットと盗塁失敗この2つのプレーで十分だった」と力説してくれた。
また牧野のスイングそのものにも魅了されたらしく「スイングが、体に巻きつくようなバットの振り方をしていて非常に魅力的。右投げ左打ちの捕手、足が早くてものすごいフルスイングをするという点で若かりし頃の小笠原道大の姿がダブった。twitterでそのようにつぶやいたらリスナーから『私は髙木大成さんだと思います』という声が多かった。ただ私は小笠原を推したい!幸か不幸か私は大成さんがキャッチャーをやっていた頃、他の番組をやっていたため知らないので(笑)牧野が小笠原になる可能性があると考えるとワクワクする」とライオンズの選手に他球団のレジェンドを重ねてしまうのは、「野球大好き」が故だろう。
今のライオンズに必要なのはいろんな意味での「ガッツ」なのかもしれない。
文化放送ライオンズナイタースタッフ 高橋大夢
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文化放送 ライオンズナイター
火~金(10月〜3月) 17:50~17:57
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