日本政府が「量子未来社会ビジョン」発表「国家間の覇権争いの中核となる重要技術」
岸田内閣の看板戦略「新しい資本主義」における成長戦略の柱となる科学技術振興策が昨日判明した。4月7日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、これについて木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏が、寺島尚正アナウンサーと意見を交わした。
藤井氏「真水でガンガン行ってもらいたい」
振興策で明らかになったのは、量子技術に関する新たな国家戦略の原案。量子技術とは、量子力学(極めて微小な小さな世界の物理法則)を利用して通信・計算・測定を行う技術のことで、これまでのスーパーコンピューターとは桁違いの計算能力を持つ量子コンピューターや、盗聴される心配のない暗号通信への応用が期待されている。
原案には、国産量子コンピューターの初号機を今年度中に整備することや、東北大学など国内4カ所に量子技術の研究・支援の拠点を整備することが盛り込まれている。
このほか、2030年に量子技術の利用者を1000万人とする数値目標も掲げられ、「量子未来社会ビジョン」(仮称)では量子技術が「将来の国家間の覇権争いの中核となる重要技術」と明記されている。
資金面では政府系ファンドを活用するというが、この点に藤井氏が懸念を示した。
「(量子技術振興は)大変結構なことで、どんどんやれば良いと思うんですけど、曲者が『政府系ファンド』ってところですね。儲かる話じゃないので、真水(政府の直接的な支出)で行かなあかんですね。真水は例によって財務省が絞るので。歪められて自由な研究環境ができないことが危惧されますね。元々、量子コンピューターの基礎技術で日本はかなりリードしているのに、こんなことしていたらやばいですね」(藤井氏)
寺島アナはこれを聞き、「でも『将来の国家間の覇権争いの中核となる重要技術』なんですよね」と、資金面に不安があることに驚きを隠せない様子。
「財務省がいる限り、中国政府やアメリカ政府に勝てないでしょうね。日本には優秀な技術者がいるから、財務省がいなければ多少少ない資金でもかなり上にいけると思うんですけど、(重要技術と)言ってるだけじゃないかと思ってしまいますね。真水でガンガン行ってもらいたいですね」(藤井氏)
研究なんだからうまくいくかどうかなんてわからないですよね、という寺島アナの意見に藤井氏も同意し、「失敗したって良いんですよ。ファンドとか言っていたらダメなんですよね」と続け、議論は白熱した。
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