小泉悠が分析「今後ロシアが核を使う可能性」
ロシアがウクライナに侵攻してから1か月以上経過。4月5日「大竹まことゴールデンラジオ(文化放送)」では、東京大学先端科学技術研究センター専任講師で軍事評論家の小泉悠氏が今後、ロシアが核兵器を使う可能性を分析した。
大竹まこと「プーチン大統領は核の使用を匂わせるようなことを言っていますが…」
小泉「ロシアとしては、あんまりウクライナに肩入れすると核を使うぞっていうのが重要な交渉の切り札なわけですよね。1990年代半ばくらい、ソ連が崩壊して一番弱かったくらいの時に出てきたアイデアが、今、戦争になったら絶対勝てないだろう。だから戦争になりそうな段階でいきなり核を使っちゃおう。一発二発使っちゃって相手に戦争やる気をなくさせよう」
大竹「え?」
小泉「あるいは戦争が始まっても勝てそうもない段階で核を使って相手に戦争を継続する意思をなくさせよう。相手の意図を砕く。相手を屈服させるための核使用っていう考え方がロシアの中にはずっとあるんです。今まさにそれに近い状況なんです。なかなか降参しないウクライナを降参させるための核使用とか、NATOの国々がウクライナに軍事援助をするのを辞めさせるための核使用とか、絶対そうなるとは言えませんがロシア側にはその理論と手段があるので、そういうことを考えてもおかしくないです。ただ、ロシアの核が怖いからウクライナを見殺しにしようとは、なかなか言えないですよね」
大竹「そうですね」
小泉「ここでロシアを勝たせちゃうと大国が核を笠に着て侵略行為をやったら、もうしょうがないという世界になってしまう。それはロシアばかりとは限らない。例えば中国が台湾周辺で同じようなことをするかもしれませんよね。ということを考えると、ロシアの核は危ないんだけれども全面核戦争にならない範囲で一定のリスクをとりながらウクライナを支えてあげるということをしないと今後の国際秩序そのものに悪い影響が出てしまいます。だからNATOの国々はおっかなびっくりではありますが、ウクライナへの軍事援助に踏み出してきたんです」
大竹「なるほど」
小泉「しかし今回ブチャというところで民間人の大量殺戮が発覚しましたよね」
大竹「はい」
小泉「これが西側の国々にかなりショックを与えていて、ロシアってこんなストレートに非人道的なことをするんですかという困惑が広がっているんです。こうなってくると、ただの武器援助だけでいいんですかという世論になっていく可能性もあります。ただ民意に押されてロシアは悪いヤツだと決めつけてガンガンいくのは危険だと思うんです。本当に核戦争になっちゃう可能性もあるので、こういう有事の際の政治家の役割は全面核戦争にエスカレートすることを避けながらロシアのやったもん勝ちにしないよう、ギリギリのラインを攻めていくことが大事だと思うんです」
この他にも番組では小泉悠さんがロシアによるウクライナ侵攻を細かく分析しています。もっと知りたいという方はradikoのタイムフリー機能でお聴き下さい。
小泉さんは番組の「大竹メインディッシュ」のコーナーにご出演です。
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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