ロシアの侵攻でウクライナ産小麦の輸出量が激減 私たちの日常生活への影響は?

ロシアの侵攻でウクライナ産小麦の輸出量が激減 私たちの日常生活への影響は?

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ウクライナ政府は3日、ロシアによる黒海の港封鎖で穀物の輸出量が急減したと発表した。4月5日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)ではこのニュースについて、火曜コメンテーターの田中秀臣氏(経済学者)に寺島尚正アナウンサーが意見を求めた。

田中氏「食品の影響は限定的。心配すべきはエネルギー」

ウクライナは世界5位の小麦輸出国だ。黒海では外国船籍の商船が100隻以上足止めされており、この影響でとうもろこしや小麦の3月の輸出量は2月の4分の1に減少した。穀倉地帯からの出荷停滞で食糧価格の高止まりが懸念されるが、この影響は長期的に続くと田中氏は指摘した。

「小麦の価格はウクライナ戦争が始まって50%くらい高騰しましたが、現在は多少下落して25%増しですね。とうもろこしや大豆は依然として高止まりしている状況です。船が出港できないと輸送コストが増加し、経済全般に与える物価高の影響が早くて半年後、遅くて1年後にゆるやかに出てきて、半年後にピークを迎えて大きく物価に影響を与えるんですね。しかもそれが1年以上続くという非常にやっかいな展開です」(田中氏)

また田中氏は、意外な食品への影響にも言及する。それは日本人にも親しみ深い「そば」だ。ロシアは蕎麦の実の生産のトップで、蕎麦の7割を輸入に頼る日本は、ロシアからの殻付きの玄そばの輸入量は国別で2位だという。

「僕は蕎麦が好きなので見過ごせないニュースなのですが、輸入食品に関しては少し慎重に見なくてはいけません。2008年くらいにも輸入穀物価格が急騰したことがあったのですが、それでも我々の消費全体に占める輸入穀物の支出はたかだか数パーセントで、食品に関しては家計に与える戦争の影響は限定的なんです。心配しなければいけないのはエネルギー関係です。こちらは長期的にこれからどうなるか注目してみなければなりません」(田中氏)

日本はロシアにおける石油・天然ガスの開発プロジェクト「サハリン2」に参画しており、東京ガスが輸入するLNG(液化天然ガス)の約12%はロシアからとされる。田中氏によると、資源の出荷停滞は実は中国でも起きているという。

「ウクライナだけでなく、中国でもゼロコロナ政策の反動で出港できない船舶が増えており、鉄鉱石をはじめとするさまざまな資源に影響を与えています。世界的な価格高は今後懸念される状況です」

遠く離れた場所で起こっている出来事が、食品や日用品にとどまらず、建設鋼材から肥料、エネルギーなどを通じて、私たち日本人の生活に大きな影響を与えている。

 


「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~8時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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