値上げの4月 メーカー、小売り、消費者の「三方良し」の経済政策はあるのか?
コロナ禍の影響による原材料の高騰が、食品などの店頭価格に浸透し始めている。4月1日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)ではこの状況について、金曜コメンテーターで岡三証券チーフエコノミストの会田卓司氏に、寺島尚正アナウンサーが意見を求めた。
原材料価格の高騰で強気のメーカー
メーカーが昨秋以降に値上げを打ち出したパンや冷凍食品など14品目のうち、9割の店頭価格が上がっているという。前回、値上げ表明が相次いだ2019年は6割弱だった。食パンや菓子パンはそれぞれ6~7%上昇しており、冷凍食品と乾燥パスタともに3%上がっている。
物流費などの上昇に小麦など原材料価格の高騰が重なり、メーカーの強気な姿勢が目立つと言われている。店頭価格への転化が早いペースで進んでいるように思われる。
これについて、会田氏は「当然ながらコストの増加に企業が耐えきれなくなっているという背景があります。それ以上に企業の価格戦略が変わってきているという動きもあります。これまではシェアを重視するということで、販売数量を落とすということを避けてきましたけれども、値上げをしても販売数量が大きく落ちなければ、当然収益は上がるわけですから、シェアから収益へ目的を転換していくという価格戦略の変化があるのだと思います」と考察した。
これまでメーカーが値上げを表明しても、小売り側が拒んで店頭価格に反映する商品というのは限られていたという。今回の値上げが浸透しているのが、かねての物流費、人件費の上昇に加えて原材料の高騰が重なり、メーカーが強い姿勢で要請しているためだという。メーカーは店頭での値引き、特売の原資となる販売奨励金も減らしており、小売りも利益を確保するため、店頭価格に転嫁せざるを得ない状況だという。
「食品の値上げは4月以降も続くとされています。ロシアのウクライナ侵略で、小麦などの価格が一段と上昇しているうえに、足元で進む急激な円安。これも物価上昇に拍車をかけているという指摘があります。また、賃金の上昇が小幅に留まっている中で、ガソリン価格などが上がり、消費の重荷になる可能性があるという指摘もあります」と、寺島アナ。
会田氏は、「まさしく日本経済のアキレス腱になっているところではないかと思います。当然、円安は日本経済、特に輸出企業にとってはポジティブな動きです。当然ながら円安で下押しを受ける輸入企業、そして家計。特に困窮している家計への負担というのがあまりにも重いですから、ここは大胆に経済政策で家計を支えていかなければいけないところではないかと思います」と経済政策の重要性を強調した。
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