中小企業のDXは難しい!? 文化放送『長尾一洋 ラジオde経営塾』3月21日(月)放送
これまで8,000社以上の企業を見てきた敏腕コンサルタントであり、孫子兵法家の顔も持つ長尾一洋と、フリーアナウンサー八木ひとみがパーソナリティを務める『長尾一洋 ラジオde経営塾』。
番組リニューアル1回目では「古い企業文化の中でのDX化の難しさ」に直面する相談者さんのお悩みに、長尾社長がじっくり回答しました。
「〇〇さ〜ん、1番に電話ですよー!!」からのDXは難しい!?
■中野エリアで約100年!老舗不動産会社にお勤めの相談者、ラジオネーム『町の不動産屋さん』。東京・中野エリアの不動産管理会社で、DXを推進しているそうです。
・相談者:『町の不動産屋さん』(50代)
・お勤め先:東京の中野エリアで約100年続く不動産管理会社
・社員数:約50名
・相談者の業務:DX推進マネージャー(現在は主に電話対応のデジタル化に注力)
■『町の不動産屋さん』のお悩みは、古い企業文化の中でのDX導入の難しさ。
「世の中ではDX、DXと言いますが、中小企業でDXを推し進めるのは、超超超たいへんです!」という魂の叫びからお悩みは始まりました。
「(一部略)会社にかかってきた電話を在宅勤務中も取れたり、社内から在宅勤務の人に電話転送できたりという仕組みを検討中ですが、問題なのはシステムの前に"企業の電話文化"の改革。
『〇〇さ〜ん!お客さんから1番に電話です』とか『折り返しの電話だけど、誰か電話した人います?』と大声で声を掛け合っていた会社が、DX導入についていけるか大変不安です。
中小企業にありがちな古い企業文化、特にお客様や社内とのコミュニケーションの取り方に関して、どうDXの導入をしていけばいいのか、コツを教えてください。」
これは全国に共感するビジネスマンがたくさんいそうなご相談!
八木アナウンサーも「前の会社ではよく『誰か〜!電話した人います〜?』ってやってました(笑)」とうなずく中、「なるほど〜、そう来ましたか」と受けた長尾社長。
一体どんな回答となったのでしょうか。
■初回ですがバッサリ斬る!長尾さんの回答は…
「番組リニューアル初回からバッサリ斬ってしまいますが…こういうのをDXとは言いません!」
ご相談にある電話応対の自動化等は「システム導入」「電話のデジタル対応」にあたります。
今までやってきたことを単にデジタルに載せかえる取り組みは「デジタイゼーション」。
「DX」とはもっと継続的なもので、経営のあり方を変えていく、企業文化それ自体を変えていく継続的な取り組みを指すのだそう。
もちろんDXにデジタル化は不可欠なので、第一歩としてデジタイゼーションに取り組む必要はありますが、単発の取り組み事例ではなく、継続的な変革をDXと考えていくべきだと長尾社長は言います。
■今回の「電話文化」をDXするなら…
DX の視点で電話応対を考えるとどうなるのでしょうか?
長尾さんが提案したのは、例えばこんな問題提起です。
・そもそもお客様から電話は受けることは「是」なのか?
・電話以外に何か方法はないのか?
電話という慣れたツールが適切なのかということから考えて行くこと。
もちろん従来慣れたやり方を変えることに抵抗が出るのはどこの職場も同じ。
しかしその習慣を変えるからこそ、DXと呼べるものになっていくそうです。
今回のご相談の状況であれば、DX的な考え方にシフトすることで、以下のような展開も考えられると長尾社長。
・不動産管理という固定客の多い業種だからこそ、お客様のスマホにアプリを入れてもらいコミュニケーションを取る。
・コミュニケーションと同時に誰からどのようなアクセスが多いかなども分析する。
・収集した情報をもとに、電話がかかって来そうなタイミングの前に、こちらから連絡する。
デジタル化により、コミュニケーションをより適切にできれば、電話応対の手間が大きく減っていくんですね!
■DXの第一歩は「軸」をつくること
さらに、単なるシステム導入に終わらない本当のDXに取り組むには、企業のドメイン、つまり「何屋さんなのか」という"軸"を決めることが大切だと長尾社長は言います。
例えば今回の『町の不動産屋さん』であれば、不動産業という業種を、物件を管理するだけでなく「暮らしを豊かにする」「中野に住む人たちの住宅環境を守る」会社なのだと考えることもできます。
その観点であれば、エリアでの強みを活かしながら新たなサービスを加えていくこともできます。
例えば…
・管理物件のお客様の見守りサービス
・ご高齢の居住者への買い物代行サービス
・室内にネットワーク接続できるセンサー機器等のIoTを設置して、数日間動きがなければ訪問するサービス
デジタルを駆使したサービスのアイディアが次々飛び出しました。
さすが長尾社長!
■相談者『町の不動産屋さん』へのアドバイス
・電話のデジタル対応は単なる効率化。これから続くDX化の長い道のりの第一歩と考えましょう。
・DXはビジネスモデル自体の変革。他社がやっていることを真似するのではなく、まず自社の軸を決めてから、何をデジタルに置き換えるか考えていきましょう。
・会社のドメインを意識してDXを推進していくことで、新たなサービスや価値を付加していくことができます。
■長尾社長へのご相談を募集中!
リニューアルした『長尾一洋 ラジオde経営塾』では、パーソナリティ長尾一洋へのご相談やメッセージを募集しています。
お仕事のお悩みや、経営戦略のご相談などに長尾一洋が番組内でじっくりご回答いたします。