NATOとG7の首脳会議 ロシアに与える影響は?~3月25日 (金)斉藤一美ニュースワイド SAKIDORI!

NATOとG7の首脳会議 ロシアに与える影響は?~3月25日 (金)斉藤一美ニュースワイド SAKIDORI!

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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1か月。24日、ベルギーの首都ブリュッセルで、北大西洋条約機構(NATO)と先進7カ国(G7)の首脳会議が相次いで開かれた。『ニュースサキドリ・前半』(午後3時39分~)では、防衛研究所地域研究部の主任研究官、山添博史氏に気になる今後のロシアの動きについて話を聞いた。

まず、山添氏に一連の会談に対するロシアの反応を聞くと、「特に目立ったものはない」のだという。ただ、あるとすれば、「ロシアは(ウクライナ侵攻について一歩も)譲りませんよ。強気で行きますよ」といった姿勢を崩さず、軍事作戦は続けられているとのこと。

一方、NATOは東ヨーロッパ4カ国(ブルガリア・ハンガリー・ルーマニア・スロバキア)に戦闘部隊を配置することで合意した。ロシアが「核兵器を使う、持っている」と言っているのは、”NATOを恐れている”という意味で捉えている、と山添氏。その上で、ロシアがNATO加盟国に攻めていくことは考えていないと思うが、NATOが何もしない、何も動かないというよりは、軍事力を強化したということで、結構、大きなメッセージになり得るとした。そして、NATOの強化や拡大が許せないロシアは(今後の動きを進めていく上で)少し考慮していくと思うとも指摘した。

 

ロシアのタス通信は、ウクライナ南東の都市マリウポリをロシア軍が一部制圧したと伝えているが、これは軍事的にどんな意味があるのか?

まず、タス通信にしろ、国防省にしろ、言ったことと現実は一致しないので、これだけではわからないが、いくつかのレポートによると、マリウポリの中の方までロシア軍が進軍している、マリウポリの市庁の機能の移転もあったということからも、より一層厳しい状態になっているのだと思う。(ロシア軍のそもそもの目的は)マリウポリを攻略し、支配することを一番優先する目的にしているように見える。(マリウポリの支配は)ロシアがいうところの軍事作戦(※)の目的に合致するためで、(ドネツク州の一部である)マリウポリを落とすことができれば、「休戦をしてもいい、停戦をしてもいい」というロシア国内での言い訳になりやすい。何としてもここは落としたいという風に考えているように見える。

 

苦戦している状況の打開のためにロシア側が生物兵器・化学兵器を使う可能性をどうみているか?

依然として可能性としては警戒しておかなくてはいけないと思う。アメリカはじめ、(可能性について)警告もしている。対応については、NATOがウクライナへの防護の支援をすることを決めている。ただ、(使うという可能性が)言われてからしばらく経っているので、ロシアが(その方向に)まっすぐ進んでいるとは限らず、かつ最近は、生物・化学兵器を使うことへの深刻さ、甚大さによっては、NATOが軍事的不介入を見直すのではないか、といった可能性をロシア側が少し考えているかもしれないし、少し慎重になっているのかもしれないと感じている。

 

他方、金曜コメンテーターの荻原博子さんからは、プーチン大統領の暴走や自暴自棄への懸念について質問が及んだ。これについて、山添氏はどうしようもないくらいに追い詰めると、自暴自棄になる可能性は高まるとして、プーチン大統領が考えながら計算して、「ここで降りた方がいい」など、冷静に考えられる時間も与えつつ、圧力を加えていくことが正しいやり方だと思うとした。

 

ロシアによる軍事侵攻から1カ月。ウクライナの都市は砲撃よって被害が拡大し、多くの人が住む場所を追われ、避難し、幼い子どもたちも犠牲なるという現実がある。「1日も早く止めなければいけないと思う」。荻原さんの言葉にラジオの前の誰しもがうなずいたはずだ。

 

(※)2月24日、プーチン大統領は演説で、ロシアが独立を承認した、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国において、ウクライナ政府によって、虐げられ、ジェノサイドにさらされた人々を保護するために、特別な軍事作戦を実施することを決定したと発表した。

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