『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』リ・バース60と残価設定型住宅ローン。新しい住宅ローン二つの特徴を解説
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2022」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
60歳になってからの住宅ローンって、なんですか?
今回は、常連リスナーの方からお便りをいただいています。
新年になってから、60歳になってからの住宅ローンのCMが流れています。
住宅金融支援機構のものですが、もしかしてこれが、大垣さんのおっしゃっていた新しい住宅ローンなのでしょうか
(足立区・北千住実篤さん)
残価のことを日常生活で思い出していただき、ありがとうございます!
が・・・実は、二つのローンは異なるものなのです。
北千住さんがご覧になったCMというのは、こちらの動画ではありませんか。
【リ・バース60】公式 夫の料理篇+友達と貴美子さん篇(30秒)
年金暮らしでも、家を安価かつ安全に購入できるローン
CMの商品は、住宅金融支援機構の「リ・バース60」という融資保険制度を利用して民間の金融機関が提供している住宅ローンです。
特徴は、
・満60歳以上の方だけが使えること
・毎月のローン返済額が一般の住宅ローンに比べて少額(ローンの利息分のみ)
・元本の返済は、借入人の死亡時。
の3つです。
元本の返済は死亡時に一括して行うので、基本的に支払うのは利息のみ。
このため、収入が減った老後でも無理なく返済ができるのです。
なお、融資の限度額は最高で8,000万円です。
もともとは「逆」住宅ローンだった
リ・バース60は、「リバースモーゲージ」という住宅金融の仕組みを使っています。
リバースモーゲージはアメリカで生まれた金融技術で、もともとはマイホームを担保に老後の生活費を借りるためのローンでした。ちなみに、リ・バース60と同じように、返済は死亡時に行います。
住宅ローンにお金を返してきたのが、住宅からお金を借りるようになるので、リバース(逆)モーゲージという名前になったわけですね。
日本にもこの仕組みを導入しようとしていたのですが、住宅金融支援機構は国交省の管轄です。
「厚労省的な仕事はできない」というわけで、試行錯誤しているうち、気がついたら日本独自の「老後に借りられる住宅ローン」に形を買えてしまっていたというわけです(笑)。
残価設定型住宅ローンとは?
さて、一方、今回ご質問にあった「残価設定型住宅ローン」は、一般社団法人「移住・住みかえ支援機構(JTI)」の残価保証制度を使ったローンのことです。
このローンの特徴は、ローンを借り入れてから約20年後ほどの時期に「残価設定月」を定めることで、
(1)残価設定月以降、リバースモーゲージの仕組みを利用した住宅ローンに借り換えられること(返済額軽減オプション)
そして
(2)残価設定月以降は、ローンの残高で土地と住宅を売却できること
の二つです。
リバースモーゲージとの違いは?
一つ目の特徴は、リバースモーゲージの仕組みを利用した住宅ローンに借り換えられるオプション。
リ・バース60でご説明したように、リバースモーゲージは返済額が利息部分のみ。残価設定型住宅ローンの場合は、少しずつ元本も返してはいくのですが、それでも、たとえば月々10万円のローン返済をしている人がいたとしたら、この方のローン返済額は月3万円程度まで減ります。
リ・バース60で使われているリバースモーゲージとの違いは、住宅の価値を売却価値ではなく、賃貸に出した場合の収益価値で計算していること。
これにより、評価額を大幅にアップさせることが可能になっています。
ローン残高でいつでも買取り
さて、残価設定型住宅ローンのもう一つの特徴は、ローンの残高で土地と住宅を売却できることですが・・・。
都市部など、どんどん地価が上がっている地域では、ローン残額よりもずっと高い価格で買い取りができるケースもあります。
そういう場合はもちろん、残額よりも高い価格で買い取りを行えます。
このオプションは、住宅の「元本割れ」のリスクを減らしているのですね。
おわりに
というわけで今回は、残価設定型住宅ローンとリ・バース60の違いについて考えてみました。
北千住実篤さん、メールありがとうございました。
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ます。必ず最新の情報をご確認ください。
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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