ウクライナ侵攻を巡り、欧米各国がSWIFTからロシア排除。ロシアと関係が深い中国はどのように舵を取るのか?
中国問題に詳しい講談社の特別編集委員、近藤大介氏が『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!』に生出演。
「今回のウクライナ危機でロシアが中国への依存度を高めれば、ユーラシア大陸が中国の経済圏になってしまう」
まず中国の対応について近藤氏は『漁夫の利外交』と表現。「ロシアと欧米が争っている間に、どちらにも良い顔を見せながら国益を取っていくことをしているようだ。欧米に対しては『ウクライナ問題の平和的な解決を求める。戦争には反対だ。一刻も早くこの戦争を止めるべきだ』と言っている。その言葉の裏には『あなたたちの敵は戦争しているロシアのなのか、それとも平和外交を続ける中国のなのか』ということが隠されている。一方ロシアに対しては『ロシアが主張するように、NATOが東側に拡大することには反対する。同じ考えだ』と言いながらすり寄っている」と述べた。
続いて、中国が「欧米による違法な制裁下にあるロシアを経済や貿易で支援する」と公にコメントしていることについて近藤氏は「北京五輪の開会式の日にプーチン大統領が北京を訪れ、習近平国家主席と会談を行い、新たに15項目の協定を結んだ。その協定は、ロシアが欧米から経済制裁を受けた場合、中国がロシアをフォローして助けるという内容となっており、米ドルが使えなくなった場合の処置についても話し合っている。つまり裏では中国がロシアを救済する仕組みが作り上げられているわけだ。この15項目で一番気になるのが天然ガスについて。これまでヨーロッパが使用する天然ガスの3割から4割はロシアからのものだった。経済制裁を受けることで行き場を失ったヨーロッパ向けの天然ガスを中国に回すことにした。また小麦についても同様のことことが決められている。あと通信衛星について、それぞれの国で独自に使用しているナビゲーションシステムを一体化させることで、今後展開していく宇宙分野での軍事開発までもが一体化してしまうのではないかと睨んでいる」と解説した。
ここで斉藤キャスターが「今後も中国はロシアを支援していくのか?」という質問に対して近藤氏は「そうだ。中国が一番考えているのは、アメリカが仕掛けてきている米中新冷戦をいかに回避し、いかに対抗していくかだ。いまの状況は中国にとって好機到来。いままでアメリカは中国を一番敵視していたのだが、いまはロシアに目を向けるようになり、ロシアが一番の敵になってしまった。とは言うものの、ロシアが今後過激に進みすぎて第2の北朝鮮となってもらっては困るので、経済的には後ろから支えていくこととなる。中ロの昨年の貿易額は1516億ドルと、12年連続でロシアにとって中国は最大の貿易相手国となっている。中国の狙いは、ウクライナ危機によってロシアが中国への依存度を高めれば、一気呵成にユーラシア大陸を中国の経済圏にしてしまうことだ」「ロシアとしてはこうなることは不本意のはずなのだが、欧米に対抗するためには中国と組まざるを得ず、中国の傘の下に入らざるを得なくなると思う」と答えた。
最後に火曜コメンテーターの小西克哉氏が「確かに中国の好機到来と言えるが、100%バラ色とは言えない。中国にとってウクライナは関わりたくない。そしてロシアにとって台湾は関わりたくない。そこを伏せておいて、漠然と2カ国の協調関係を進化させようとしているが、事態が意外に早く展開しているので、ハンドリングを間違えると中国は大変なことになる。習近平はそこを見極めながらつかず離れず事を進めていくのだろう」と感想を述べた。
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