吉崎達彦氏「過去のロシアの侵攻の歴史から見えてくる五輪との関係とは?」

吉崎達彦氏「過去のロシアの侵攻の歴史から見えてくる五輪との関係とは?」

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ロシアのプーチン大統領が21日、ウクライナ東部の2つの親ロシア派支配地域を独立国家として承認したことから、さらに問題が深刻化したウクライナ情勢。エコノミストの吉崎達彦氏は2月22日の「くにまるジャパン極」(文化放送)で、プーチン大統領の目論見や、これまでの侵攻の歴史に見えてくる意外な事実を紹介した。

野村邦丸アナ「今回のニュースは楽観的な見方と悲観的な見方、色々あるんですけど、吉崎さん、状況としてはさらに深刻になったといえると思うんですが」

吉崎氏「ちょっと掛け金を釣り上げられてしまった感じですね。元々先週の時点の注目点は20日の日曜日に北京オリンピックが閉会式を迎えること、20日までベラルーシとロシアが共同演習をやっていて、それが終わった後どうなるかっていう、この2つだったわけです」

その20日が過ぎたきのう21日月曜日になって新たな動きとして出てきたのがこの独立国家承認問題で、ロシア軍も撤退せずそのまま駐留するということになった。

吉崎「元々ドイツ、フランスなどが最初から落としどころとして考えていた『ミンスク2』という停戦合意があって、それがウクライナ東部の2つの州が何とか現状を維持する形で収まると言う、これを完全履行すると、ウクライナとしてはそんなのイヤだけど、とりあえずこの場は収まるかなっていう風に思っていたわけなんです。落としどころとしてうすうす感じていたものをロシア側が潰しちゃったということですね」

邦丸「吉崎さんが指摘した『ミンスク合意』は、ロシアとウクライナ当事国だけじゃなくて、ドイツとフランスが仲介して今回もニュースに出ているウクライナ東部のドネツク州と、ルガンスク州の一部の自治権を認めましょうと、その後色々問題はあるかも知れないけど現状維持しましょうねって言ってたんだけど、一方でドネツク・ルガンスクの親露派と言われる武装勢力が色々攻撃したり、ウクライナ軍も応酬したりとか、ずーっと戦闘状態にはあった。で、今回とうとうヒートアップしちゃってるってことなんですけど」

吉崎「しかもこれは文書が結構曖昧で、どうとでも取れるような……2015年だったと思いますが、やっと収めた内容なわけです。『もう一回そこに戻りましょうよ』でとりあえずお茶を濁せるかな~と思っていたら、それをロシア側が自分で否定してきたということですね。考えようによってはこれ、国内用のアピールなのかも知れません。というのは、ロシア議会が『早く認めろ』と。『親ロシア勢力が可哀想じゃないか!』ということを言ってて、それに乗っかる形でやっていますから、国内で『なんでウクライナ攻めるの?』と言う人たちに対する、ひとつの理由付けをやっているようにも受け取れます」

邦丸「吉崎さんは、この先どうなるとご覧になっていますか?」

吉崎「ひとつは2008年にロシアがジョージア(グルジア)でやったこととそっくりのパターンですね。あの時はジョージアの一部、南オセチアという地域を自治国みたいにしちゃって、それをロシアだけが承認している。その戦争で、ジョージアの一部を取っちゃったというような形でやったし、それも2008年北京夏季オリンピックの開会式の時にやっている

ということで、そっくりな手口ですよね。そうやって考えてみるとクリミアを取ったのも2014年のソチオリンピック直後だったので、つくづくオリンピックの度に領土を掠め取ってるじゃないかっていう、そういう見方も出来ちゃうんですよね」

北京オリンピックが閉幕した今、はたして今回もロシアは大胆な軍事行動を取るのか、出来れば過去の歴史とは違う方向に動くことを願うばかりだ。

「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。大谷昭宏氏は月曜日にコメンテーターとして登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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