『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 家の「残価ローン」が始まる! でもそれって一体何?
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2022」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
今回は、大垣さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構」が、2021年にサービス提供を始めた「残価設定型住宅ローン」について。前後編でお届けしています。前編となる今回は、残価設定型住宅ローンの概要を解説。
定年後は10万円のローンが3万円に? 残価設定型住宅ローンの仕組み(大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ)
残価設定型住宅ローンについて知りたいです!
今回は、残価設定型住宅ローンについてのご質問をいただきました。
残価設定型住宅ローンについて、番組で延べ2回は聞きました。
申し訳ないのですが、もう一度、基礎から教えてください。
先日、車のダイレクトメールを見ていたら
残価設定の記載がありました。
パッタイさん(横浜市保土ヶ谷区・30歳男性)
売却で損をせず、返済が苦しくなったら減額できる
残価設定型住宅ローンとは、「残価保証」と「新型リバモオプション」という二つの特徴をもった住宅ローンのことです。
一つ目の残価保証とは、事前に設定した時期(残価設定月)以降は、いつでもローンの残高で買い取ってもらえること。
二つ目の新型リバモオプションとは、残価設定月以降、ローン返済額を半分以下に減らせるローンに借り換えられることです。
要するに「売却時は損をせず、返済が苦しくなったら減額できる」ローン。
10万円のローン返済が、3万円まで圧縮可能!?
この「事前に設定した時期」は、物件によって異なりますが、たとえば35年ローンを借りた場合、およそ20年目前後になることが多いです。
標準的なモデルケースでいうと、毎月10万円のローンを支払われていた方の場合、20年目に新型リバモオプションを使うことで返済額を3〜4万円程度まで減らすことができます。
40歳で家を買ったら、60歳からは返済額が大幅に減らせるわけですね。
もちろん、オプションは使わず、予定通り返済を続けることも自由です。
オーバーローンのリスクから解放!
また、住み替えや転勤などで家が必要なくなったときは「残価保証」を使うことで、ローンの残債と同額で家を売却できます。
家を売却してもローンが残ってしまうことを「オーバーローン」といいますが、残価設定型住宅ローンなら、このリスクがなくなるのですね。
残価設定型住宅ローンが作られたきっかけ
このローンは、家を買いやすいものにしたいという思いから生まれました。
これまでの日本人にとって、家は「誰もが購入できるもの」でした。
その証拠に、60歳以上の持ち家比率を見てみると、実は8割以上の人が持ち家を所有しているんです。さらにこれを年収300万円以上の人に限定すると、なんと所有率は90パーセントを超えています。
それが、景気の後退などにより、年々「お金持ちの購入するもの」になってきています。賃貸をあえて選択している人ならいいですが、「本当は持ち家がいいけれど、買えない」層が増えるのは、不幸なことですよね。
残価設定型住宅ローンを使えば、現役時代には毎月10万円の住宅ローンを払うけれども、50〜60代で給料が減り出したあたりからは3万円に減額する、なんてことも可能になります。
このローンで、家を買うことへの不安感や負担感を減らせるのでは・・・。
そんな気持ちからこのローンの開発を行いました。
35年ローンが、老後の資金を食い潰す?!
脅かすわけではありませんが、多くの人にとって年収のピークは55歳です。
35歳で、35年の住宅ローンを借りて家を購入したとしたら、55歳で給料が下がり始めてから、年金支給が始まる70歳までの15年間、現役世代と同程度の支払いを続けていくわけです。
さらにいえば、近年は晩婚化の時代。55歳以降でも、まだまだ教育費にお金がかかる家庭もあるかもしれません。
残価設定型住宅ローンで家を購入し「家を買って20年したら、家賃の負担がグンと減る」と分かっていたとしたら、人生設計がいくらか描きやすくなるのではないでしょうか。
残価設定型住宅ローンに関する質問、お待ちしています
2022年は、残価設定型住宅ローンをどんどん皆さまに広めていきたいと考えています。メールをくださったパッタイさんのように、残価設定型住宅ローンについて疑問に思われたことのある方は、ぜひラジオにご質問をお寄せください。
パッタイさん、ご質問いただきありがとうございました。
後編では、残価設定型住宅ローンの詳しい仕組みについて解説しています。
定年後は10万円のローンが3万円に? 残価設定型住宅ローンの仕組み(大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ)
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介してい
ます。制度等の利用時には、必ず最新の情報をご確認ください。
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…