「あいつゲイなんだって」LGBTのアウティングはなぜ問題なのか? ライター・松岡宗嗣が語る、根本的な解決方法とは
2月10日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)には、LGBTの普及啓発活動を続けているライター・松岡宗嗣さんが登場。LGBT当事者の許可なく、「◯◯さんってゲイなんだって」など暴露してしまう「アウティング」について解説した。
まず話題になったのは、「アウティングはなぜいけないのか」ということ。
松岡「悪気なく言ってしまうパターンも少なくないと思うんです。でも性的マイノリティの当事者は、慎重に『誰に伝えたらいいのか?』って考えているので、わざわざ『カミングアウト』という行為が必要になるんです」
性的マイノリティであることを理由に、不当な差別を受けるケースは少なくない。
「家から追い出される」「学校に行けなくなる」「職場をクビになる」……こういったリスクは、当事者以外には見えにくい。
大竹まこと「海外では、LGBTを理由に処刑されてしまうようなところもあれば、全体的に受け入れられていて、専用の社交場があるようなところもある。日本は世界と比べるとどうなんでしょう?」
松岡「世界と比べると、真ん中くらい・ちょっと後ろくらいという表現が合います。OECDの38カ国中では25位。法律状況で比較すると、ワースト2位です」
大竹「日本はどうしてこれだけ遅れた状況になってしまっているんでしょうか?」
松岡「これも根深い問題になってしまうんですが……まずは政治や国会を担う人に、マジョリティの高齢男性が多くて『家族の形はこうあるべきだ』という考え方が根強く残っていることですね」
パートナーシップ制度は140以上の地域に広まっているが、法律では同性婚は未だ認められていない。
性的マイノリティにとって、現代日本は非常に生きにくい環境ということになる。
松岡「職場でカミングアウトしている人は、全体の20%に及ばないくらいと言われています。ほとんどの人は黙って働いている。同性愛者の自殺未遂率は、異性愛者と比べると6倍。トランスジェンダーの場合は10倍くらいまで高いです。それだけ社会が抑圧や差別をしてしまっているという現状なんですね」
松岡さんは「『アウティングが危険』ということを伝えるのは大事なんですけど、一方で暴露されたところで100%の人が『だから何?』と受け取める世界であれば、そもそもアウティングは問題にならないんです」と語る。
松岡「根本的には、差別や偏見をなくさないと被害はなくなっていかない。なんでそもそもアウティングをしたら、当事者か危険な状況に置かれてしまうのか。そういう社会ってどうなんだろうっていうことを、多くの人に考えてほしいなと思って」
アウティングについて、より深く知りたい人は、松岡さんの著書『あいつゲイだって アウティングはなぜ問題なのか?』(柏書房)を手に取ってみてほしい。
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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