パラアルペンスキー本堂杏実選手「感謝を忘れず、北京大会を全力で楽しむ」ニュースワイドSAKIDORI!
2大会連続のパラリンピック出場となる、アルペンスキー(立位のクラス)本堂杏実選手が、8日、文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」内『応援!ユニバーサルスポーツ』に電話出演。時速100キロが出るダウンヒル(滑降)の魅力、アスリートのメイク、3月4日開幕の北京大会への意気込みを語った。
明るく、感じのいい選手だ。本堂杏実(ほんどう・あんみ)、25歳。埼玉県の出身。生まれつき左手の指がなく、5歳から大学生まで健常者のチームでラグビーに取り組み、18歳以下の女子日本選抜にも選ばれたこともあるが、その後、パラのスキーに転向する。斉藤キャスターがその経緯を訊くと、本堂は「大学1年の冬に、大学関係者からパラスポーツに興味はないかという声がかかり、いろいろな競技の中で、幼少期からスキーをやっていたこともあり、スキーが好きという気持ちだけでアルペンスキーの世界に飛び込んだ」と勢いよく答えた。日体大2年の時に本格的にパラのアルペンスキーに転向すると、2年も経たずにピョンチャン・パラリンピックに出場。回転で8位入賞を果たす。並の運動神経と根性ではない。
そうした本堂のスキーでの最大の武器が、「恐怖心がないこと」。だが、おととしの1月、ワールドカップで転倒し、左ひざの前十字靭帯を断裂し、全治7ヵ月の大けがを負う。それでも恐怖心はないのかと斉藤が突っつくと、本堂は「ケガをしたのは得意種目の高速系で、悔しく、辛い時間もあったが、手術が終わった瞬間から、もう(1回)、ダウンヒル(滑降)に出てやる!と麻酔が切れて意識がもうろうとしながらも言っていたくらいなので(笑)」と豪快な一面を披露した。本堂が続ける。「昨年12月の今季初レースは高速系種目で、転倒することだけは怖かったが、スピードに関する恐怖心は全くない状態でスタートを切ることができた」と振り返った。
アルペンスキーには5種目あり、その中で本堂は高速系の1つ、ダウンヒル(滑降)が得意だ。松井アナがその魅力を尋ねると、
本堂は「時速100キロも出る。スピード感が他の種目とは大違い。立って滑るクラス、(下半身に障害があり、チェアスキーに乗って)座って滑るクラス、目の見えないクラスの選手が、それぞれ滑るのだが、ドキドキ、ハラハラ、いろいろな感情を交えながら見ている人が楽しめるし、滑っている私も楽しく、アドレナリンがバンバンに出る種目!」とダウンヒル(滑降)の魅力を紹介してくれた。
他方、本堂はオシャレだ。現在、化粧品大手のコーセーに所属している。コーセーが、初めてアスリート社員として契約したのも本堂である。今、一部のアスリートのメイクについて、ネット上で批判の声、擁護の声がそれぞれ上がっている中、松井が「アスリートのメイクについて、ご自身でどんなことを発信していきたいか」と質問すると、本堂は「私自身、メイク、ネイル、明るい髪の毛・・・すごく好きで、レースの時もモチベーションの一部になっている。もちろんメイクをしない選手もいれば、する選手もいる。人それぞれ、いろいろあるが、私は化粧品会社の社員として、メイクの楽しさは伝えていきたいし、(一部の選手に)メイク批判はあるが、選手である以前に、一人の女性ということを忘れないで、どんどん発信していきたい」と気持ちを込めた。番組の女性スタッフも「すごくいいこと言っている」と深く頷いていた。
3月4日開幕の北京パラリンピックで、本堂はアルペンスキーの5種目:滑降、スーパー大回転、大回転、回転、スーパー複合(スーパー大回転と回転の合計得点を競う)に出場する。日程表を確認すると、ほぼ毎日出ているようなスケジュールに、斉藤も驚いていたが、
最後に意気込みを訊くと、本堂は「まずは、このような環境下で開催していただけることに感謝し、その気持ちを忘れず、思い切り、全力で楽しむことを忘れずやっていきたい。そして願うのはメダル獲得。それを目標に、あと1ヵ月、全力で悔いない時間を過ごしたい」と高らかに宣言した。東京オリンピック・パラリンピックのスポーツディレクター、小谷実可子は「アスリートは、みんなを元気にするのが仕事!」と話す。本堂のトークは元気が出る。その中で、しなやかさも光った。自分の言葉で素直に気持ちを表現しているからだろう。また番組で応援したい選手が1人増えた。
(構成・後藤)
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