病床ひっ迫、搬送先がなかなか決まらない・・・救急搬送の現状 ~2月7日ニュースワイドSAKIDORI!
新型コロナ感染者の搬送依頼は1日50件。民間救急の代表が
「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」で現状を報告。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く大阪で、救急患者の搬送先がすぐに
見つからない「救急搬送困難事案」が急増している。
大阪市消防局によると、新型コロナ患者を含む全ての救急搬送で、搬送先が
決まらず現場に3時間以上とどまった件数が、1月10日から16日の1週間では
5件だったのに対し、24日から30日の1週間では35件と7倍に増加。
中には約8時間半、現場にとどまった例もあった。
さらに、1月31日から今月6日の1週間をみると、48時間以上かかったケースも。
救急患者の医療機関への搬送は今どのような状況にあるのだろうか。
大阪・旭区にある関西メディカル民間救急の代表取締役、畔元(あぜもと)
隆彰氏に聞いた。
畔元氏によると、今年に入って1月中頃から、今までと違って急激に搬送が
増加し、現在は1日50件ほど新型コロナ患者の搬送に従事しているとのこと。
「当初は若年層で広まったため、感染者数は多いものの重症者は少ないと
言われていたが、現状は高齢者、中でも80代以上の超高齢者と呼ばれる人たちが
中等症以上になり、ストレッチャーを使っての搬送が増加している」と説明した。
では、今回の第6波が第4波や第5波とどのように違うのだろうか。
「第6波は、第4波と第5波を混ぜたような状況。第4波の時には重症者の数が
非常に増え、第5波の時には搬送件数が非常に伸びた。第6波でも行政からの
依頼で搬送を行っているが、それ以外に個人からの依頼も多くなっている。
個人からの依頼は第4波、第5波の時には対応できていたが、第6波では
行政からの依頼に応えるのが精一杯で、個人や介護施設、訪問看護や訪問介護の
事業所からの依頼には全く対応できていない。重症患者の数や搬送件数が
増加しているのが第6波だ」と現状を述べた。
その上で、救急搬送困難事案が増加している理由として、次のように述べた。
「搬送車両が全く足りていないことが挙げられる。行政が持っている救急車が
フル稼働しているため民間救急に依頼が回ってくるが、新型コロナ搬送を
行っている民間業者は非常に少ないのが現状だ」。
このような中、民間救急の現場では大きな懸念も。畔元氏によると、一番問題と
なっているのは現場で働く者への感染リスクとのこと。
「民間救急の従事者が濃厚接触者になった場合、業務がストップしてしまう。
今、対策を考えているところだが、医療従事者だけでなく、我々のような
エッセンシャルワーカーが濃厚接触者となった場合、優先的に検査ができるなどの
施策を政府に要請したいと考えている。実は民間救急は業態としては
タクシー事業とされている。そのため、医療従事者と違って優先的な
ワクチン接種の対象とはなっておらず、まだ3回目のワクチン接種は受けて
いないのが実情。各自治体からの優先接種の要請がない限り、一般の人と同じ
タイミングで接種するしかない。1回目と2回目の接種については医療従事者の
次に受けることができたが、3回目については前のような優先接種の話は
まだきていない」と実情を訴えた。
ここで、月曜コメンテーターで元衆議院議員の金子恵美氏から、コロナ患者の
受け入れ先が決まらないといった事例はどれくらいあるのかとの質問が。
畔元氏は、
「民間救急は搬送元と搬送先が決まった状態で車両を出動させるため、待機する
ことは基本的にはない。しかし軽症や中等症との連絡を受けて現場に行き、
パルスオキシメーターで測定すると血中酸素飽和度が低く、依頼された搬送先の
病院での受け入れ基準に達していないということが現実に起きている。
直近の例では、新たな受け入れ先が決まるまで5時間待機したことも。
いま多くなっているのが転院のための病院から病院への搬送、またクラスターの
発生による介護施設から病院への搬送だ」と述べた。
こうした病床ひっ迫の現状を受け、大阪府は、救急搬送先が長時間見つからない
場合、患者が酸素投与などの処置を受けながらベッドに空きが出るのを待つ
「入院患者待機ステーション」を6日、設置した。設置は去年9月以来となる。
『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
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