パラスノーボード小栗大地選手「チーム全員でモチベーションを上げて北京に挑む」~ニュースワイドSAKIDORI
ピョンチャンに続き、北京で2大会連続のパラリンピック出場となる、スノーボードの小栗大地選手が、1日、文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」内『応援!ユニバーサルスポーツ』に電話出演。事故に遭った時の気持ちや義足で雪面を滑る時の難しさ、日本代表スノーボードチーム全員で北京大会を戦うことを語った。
小栗選手は、北京パラリンピックに出場する日本代表スノーボードチームのキャプテンである。現在41歳だが、小学5年生でスノーボードと出会い、25歳でプロのスノーボーダーになったというから、この世界ではもはやベテランだ。30歳で一線を退いたが、2013年、仕事中に落下してきた鉄板の束の下敷きとなり、右太ももから先を失う。そこからパラリンピックを目指したが、斉藤キャスターが1つのエピソードを披露する。それは小栗が、救急車を待つ間、「義足になってもスノーボードができるかな」と考えていたことだ。どうして、そうした前向きな気持ちになることができたのだろうか。小栗は「元々、事故に遭う前から、義足の存在を知っていて、友達にパラスキー(パラのアルペンスキー)の三澤拓(みさわ・ひらく)選手がいて、彼が義足に生活していて、パラスキーをしていたのを見ていたので、現場で事故に遭った時、すぐに切り替えて、自分は義足になるんだ、義足になったら何ができるかなとその場でいろいろと考えることができた」と振り返っていた。この話を聴いていたスタジオの副調整室の全ての番組スタッフから、「すげぇな」とため息が漏れた。斉藤が「それにしても冷静沈着だ」と問いかけると、小栗は「その時は不思議とものすごく冷静でいられた。激痛というか、感覚は無く、ただただ苦しいという感じ」と教えてくれた。
小栗は右脚が義足である。斉藤が「滑る時は、どちらの足を前にして滑るのか。写真を拝見すると、左脚を前にしているが・・・」と尋ねると、小栗は「ピョンチャンパラリンピックまでは、左脚を前にしていたが、その後、スタンスを変え、グーフィースタンス(義足の右脚を前にしたスタイル)にした。右利きから左利きにしたようなものだ」と答えた。
斉藤が感嘆し、チェンジした理由を訊くと、小栗は「ピョンチャンの前あたりから、後ろ脚が健側(義足ではない脚)のグーフィースタンスの方が後ろ脚でしっかり雪面を蹴ることができるので、有利なのではないかと考え出し、ピョンチャンの後に決意してグーフィースタンスにチェンジした」と答えた。つまり、義足の右脚を前にして、後ろの健側でふんばったり、力を溜めたり、バランスを取ったりしているのだ。超人である。パラリンピックとは、そうした超人の集まりなのだろう。斉藤が感触について振ると、小栗は「グーフィースタンスに変えて、3年ぐらいでまともに滑ることができるようになり、今は本当にレギュラースタンス(左脚が前で、右脚が後ろ)と変わらないくらいになってきた」と話し、自信のほどがうかがえた。
松井アナが「先日、ノルウェーで行われた世界選手権では、2人の選手が同時に滑ってトーナメント方式で競う『デュアルバンクドスラローム』で4位だったが、北京パラリンピックに向け、手ごたえは?」と訊くと、小栗は「グーフィースタンスに変えてから、細かい動きを要求されるバンクドスラローム(バンクと呼ばれるコーナーに旗を立て、滑りきる速さを競う種目)は少し苦手だったが、世界選手権では対応でき、ようやく滑ることができるようになってきた感じ」と収穫があった様子だった。また、小栗はスノーボードチームのキャプテンとして、北京パラリンピックの日本代表を率いる。
松井が「キャプテンとして何を大事にしているのか」と尋ねると、小栗は「選手同士、コミュニケーションをしっかりとり、情報の共有を可能な限りする。大会に行った時のコースなどの情報もできるだけ共有し、選手だけで作戦が立てられるようにしている。選手全員でモチベーションをあげていくというチームになっていると思う」と胸を張っていた。個人競技のスキーだが、競泳などと同様に、国際大会で成果を出すためにはチーム全体で戦うことが重要だ。しかもキャプテンは、常にキャプテンとしての行動が求められる。小栗は「自分は見守っているだけ」と謙遜していたが、人望の厚さもにじみ出ていた。とかくキャプテンは個人のことよりもチームのことに力を注ぎがちだが、小栗には個人としての成績にも強くこだわって、北京大会に臨んでもらいたい。
(構成・後藤)
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