『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 優先株って何？　専門家が徹底解説

伊藤園が「優先株」を出しているとのことですが・・・
リスナーの方から、優先株についてご質問のメールをいただきました。ご紹介します。

株主優待目的で投資をしています。
飲料メーカーの伊藤園が
第一種優先株式というのを
上場していることを知りました。
第一種優先株式について教えてください。

（コロンボさん、54歳男性）

配当額が増える！　優先株とは？

優先株というのは、普通の株より優先して配当を受け取れるタイプの株式のことです。
その会社の業績に関わらず一定の配当がもらえるので、普通株式よりも保守的な運用が可能です。

その代わり、株主総会における議決権がなかったり、制限がかかっているケースが多いです。伊藤園の優先株も議決権がありません。
ちなみに議決権とは、会社の運営やお金の使い方などについて、株主総会において賛成か反対かを投票できる権利のことです。

どんな人におすすめできる？
会社の運営などに興味があるのであれば、普通株式を購入するほうが良いですが、コロンボさんは株主優待がメインの目的とのことですね。

伊藤園の優先株にはもちろん株主優待もありますよ。
購入株数に応じた自社製品の詰め合わせと、オンラインショップでの割引が受けられるようです。

リーマンショックの影響で生まれた「上場優先株」

実は、優先株の上場はかなり珍しいことなんです。
伊藤園が優先株を発行し、それをさらに上場させるとなった当時は、その珍しさから非常に話題になっていました。

伊藤園が優先株を上場させたのは15年前の2007年。伊藤園はリーマンショックのあおりを受けて、お金を調達する必要がありました。
株式を新しく発行して、それを買ってもらえれば、伊藤園にお金が入りますからね。

一方で、新しく株式を発行することにはリスクもあります。
たとえば、株式を発行することで、伊藤園の株主が増えます。すると、一人あたりの議決権の「重み」が薄くなってしまう。
これは、ここまで支えてくださった株主さんを蔑ろにする行為でもあるわけです。

さらに、それを受けてこれまでの株主さんが伊藤園に見切りをつけ、株を売却してしまったら・・・。資金調達をしたいのに、むしろますます株価は下がってしまいます。

というわけで、この状況を解決するために「議決権のない優先株」という調達方法を考えだしたわけですね。

個人が購入できる優先株はレア！？

というわけで、優先株は多くの場合、業績の悪くなった企業が救済のために発行するものなのです。

たとえば2021年の12月に、新生銀行が経営破綻後、SBIホールディングスの傘下に入ることが決まりましたが、新生銀行が破綻前に発行していたのも優先株です。

また、ベンチャー企業のように、これから業績が上がっていくことを見越して発行するケースもままあります。

ただし、前述のように、上場することは非常に少ないため、個人が購入できる機会はそこまでありません。法人が購入する場合は、節税に使えるなど面白い金融商品なのですが・・・。

伊藤園の優先株は、大手企業が発行しており、さらに個人が買える数少ない優先株。もしもご興味があれば検討してみるのも一つの手かもしれません。

というわけで今回は、優先株について考えてみました。
コロンボさん、メールありがとうございました。

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