『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 空き家対策よりも、空き家にさせない対策を。専門家が考える空き家の活用方法
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
今回は、空き家対策についてのお話です。
空き家対策って、結局どうすればいい?
30歳男性の方から、空き家の対策についてご質問をいただきました。
番組で空家コンサルタントの
エピソードが紹介されていました。
2021年(令和3年)6月には国交省が空家増加に対する手引書が発表しましたが、
大垣さんが一戸建ての御経験を基に、
団地の空き室対策を描いておられたら解説してください。
パッタイさん(横浜市保土ヶ谷区・30歳男性)
番組で空き家コンサルタントについて扱った際の記事はこちらから!
空き家対策よりも、空き家にさせない対策を
国をあげての空き家対策がとられていることもあり、空き家コンサルタントをはじめとした、空き家に関連するサービスやビジネスなどは年々増えてきています。
私が「空き家対策」と聞いてまず思うことは、身もふたもないようですが「そもそも、空き家になってからでは遅い」ということ。
家は、まだ人が住んでいるうちから、活用方法を考えていくべきだと考えています。
人の住まない家は、半年でボロボロになる?!
私は、移住・住みかえ支援機構という一般社団法人の代表理事として15年、皆さまが住まなくなったマイホームを活用するお手伝いをしています。
その中で、人が住んでいない家は、住まなくなってから半年程度でも、かなり痛んでしまうことを痛感しました。
たとえば、システムキッチンを導入している家があったとします。
退去時、ガス台の魚用グリルに水が残っていたりすると、そこからコンロごと腐って錆びてしまうんです。
そこでコンロを替えようと思うと、部品が販売中止になっていたり・・・。
結局、システムキッチン全てを交換する羽目になるなど、予算を大幅にオーバーした修繕費がかかってしまうことが結構あって。
コンロに限らず、そういう話ってすごく多いんです。
「お金ができたら手入れ」しようと思っていても・・・
こういうケースで、「お金ができたら手入れしよう」と思って家を放置してしまうと、どうなるでしょう。
自分が現に住んでいない家のことって、生活していると意識にあまりのぼってこないですよね。
そういうわけで、忘れているうちに年月が経ち、気づけば迷惑空き家か、その一歩手前。あわてて二束三文で売却・・・なんてシナリオもありえます。
そうなる前に何らかの対策を取ることで、愛着のある家を最大限活用できるのではないでしょうか。
あなたが相続した家は、空き家です!
しばらく住む予定のない家をお持ちの皆さまとお話ししてきて分かったことは、自分の家が「空き家」だと思っている人はかなり少ないこと(笑)。
「もっと廃墟のように雑草が生い茂っている家が”空き家”なのであって、私が親から相続した、今は誰も住んでいない家は空き家ではない」と皆さん漠然と思われているんですよね。だから、ついつい数年放置してしまうことになりがち。
しかし、人が住んでいない家は、全て空き家です。
向こう数年誰も住む予定がないのであれば、早めに手入れをして、なんらかの活用をしたほうが、人にも家にも優しいですよ。
皆さんは、東洋医学に「未病」という言葉があるのをご存じですか。「病気とまではいえないけれども、放置すれば大病になるような体の状態」のことをいうのですが。
私はこの考え方が、家にも当てはまると思っています。完全に悪くなってしまう前に対策を、ということですね。
専門家おすすめの活用方法とは?
空きそうな家を資産として活用するなら、最初はハードルが低い「賃貸」から始めるのがおすすめです。
シェアオフィスやカフェといった活用方法も素敵ですが、これらは準備や運用に、かなりの費用と手間がかかります。
「生活に余裕ができたら・・・」なんて考えているうちに、家はどんどん荒れてしまいます。
家は、誰かが使っていない限りは荒れて、価値がどんどん下がっていきます。
とにかく活用し、家の価値をキープすることが重要なわけですから、あまりご自分が負担に感じないような、簡単な活用から始めてみてください。
・・・我田引水ですが、私が理事を務める移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借上げ制度」は、国の基金が設定された、賃貸制度です。
賃貸をお考えの方は、ぜひご検討ください。
というわけで今回は、空き家対策について考えてみました。
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介してい
ます。制度等の利用時には、必ず最新の情報をご確認ください。
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…