『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 買った家の下に遺跡があったら、どうするべき?
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
もしも買った土地に遺跡が見つかったら・・・?
今回は、遺跡を購入してしまったら? という素朴な疑問にお答えしました。
メールをご紹介します。
いつも楽しく拝聴しています。
息子が家を建てるための土地を近隣で探していますが、
このあたり、けっこう遺跡が多いんです。
もし買った土地に遺跡が見つかったら、どうなっちゃうんでしょう。
(サンダーバード2号さん・神奈川県)
土地から遺跡が出たことがあるかチェック!
まずは、目星をつけている土地が、その自治体の「周知の埋蔵文化財包蔵地」に指定されているかどうかを調べてみてください。
「周知の埋蔵文化財包蔵地」(以下、「包蔵地」と表記)とは、かつて石器・土器などが出土したことがあったり、もしくは古墳や貝塚などの遺跡が埋もれていそうな土地のことです。
遺跡や文化財が出る土地は、すでに自治体が把握していることがあるため、まずはその確認をする、ということですね。
包蔵地かどうか、どうやったら確認できるの?
具体的にどこからどこまでが包蔵地に該当するかは、各自治体ごとの教育委員会の管轄下にあることが多いようです。
役所のホームページで「文化財保護課」「市史文化財担当」などの部署まで問い合わせてみてください。ホームページに記載のない自治体の場合、電話やFAXでも回答してもらえます。
不動産業者から土地を購入する場合、包蔵地かどうかは取引の際に教えてもらえるケースが多いようですが、気になる方はご自分でも調べてみるのが良いですね。
また、業者を介さない個人間での取引の場合も、事前にチェックしておきましょう。
遺跡なのに、届出不要の工事もある?!
しかし、例えば京都市街地のように、市内のほとんどの場所が「周知の埋蔵文化財包蔵地」として指定されている場合、包蔵地であっても、家の条件によっては届け出が不要な自治体もあります。
ちなみに、サンダーバード2号さんのお住まいは神奈川県とのことですね。たとえば、購入予定の土地が鎌倉にあるとすると、鎌倉は京都市内と違って、包蔵地であれば基本的に届け出が必須になっているようです。
包蔵地を購入する場合は・・・
包蔵地を購入して家を建てる場合は、工事前に文化庁長官に届出をする必要があります。
工事が可能かどうかは、届出の後に行われる調査で決めるのですが、この調査の費用は基本的に公費では行われません。多くの場合は家を建てる事業者が負担するようですが、売り主や買い主が負担する場合もあります。
包蔵地を購入する場合、誰が調査の費用負担をするかはチェックしておいたほうが良さそうです。
なお、個人の住宅購入など、営利目的でないケースでは、調査のために国庫補助が出る場合もあります。
包蔵地ではないのに、埋蔵物が見つかってしまったら?!
また、包蔵地ではないことを確認してから土地を購入したのにも関わらず、工事をしていたら遺跡などの埋蔵文化財が見つかってしまった場合は、すぐに工事を中断して文化庁長官まで届け出をする必要があります。
工事が続けられるかどうかはその後に行われる調査次第ですが、場合によっては残念ながら、工事を断念しなければならないこともあります。
そんなわけで今回は「遺跡が埋まった土地を購入してしまったら?」という質問にお答えしてみました。サンダーバード2号さん、メールありがとうございました。
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…