緊迫するウクライナ情勢―その背景は? ~1月28日(金)斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!
ロシアによるウクライナ侵攻の懸念が高まっている。斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI」のメイン・コーナー「ニュースサキドリ」では、日本で唯一、ウクライナを専門的に研究する学術団体「ウクライナ研究会」の会長を務める神戸学院大学の岡部芳彦教授に電話を繋ぎ、現在のウクライナ情勢について話を聞いた。
現在のウクライナとロシアの緊張状態にはどのような背景があるのか?
―もともとロシアの発祥の地はウクライナのキエフで、9世紀から13世紀に存在したキエフ・ルーシーと言う国にある。ボルシチ、コサックダンスもウクライナ発祥で、ロシアの文化はほぼ全てウクライナ発祥と言って良い。そのウクライナがロシアから離れる事は、ロシアの面子を潰す事であり許せない、という感情がそもそもロシアにはある。また昨年、ウクライナのゼレンスキー大統領は2014年にロシアによって併合されたクリミア半島の奪還を求める国際会議、「クリミア・プラットホーム」を開催した。この会議には、アメリカのバイデン大統領、ドイツのメルケル首相他、各国の要人が参加したが、この会議の直後からロシア軍のウクライナ国境への集結が始まった。
現在のウクライナを巡る、アメリカとロシアの緊張にはどのような背景があるのか?
―2014年に起きた、ウクライナの親ロシア政権の崩壊がある。当時のアメリカの大統領はオバマ氏、副大統領はバイデン氏、国務次官補は現在の国務次官ビクトリア・ヌーランド氏、国務省報道官は現在の大統領報道官ジェン・サキ氏だったが、ロシアにはアメリカのCIAがこの政変を仕掛けたという陰謀論が存在している。現在ロシアは2014年の政変を主導したチームが再びロシアとウクライナの関係に介入しているという発想で、この陰謀論を連日のようにテレビで報道している。
バイデン大統領は27日、ゼレンスキー大統領と電話で協議し「ロシアが2月にもウクライナに侵攻する可能性が十分にある」と伝えたが、この可能性についてどう思うか?
―私は無いと思う。東ウクライナにはウクライナからの独立を宣言した未承認国家ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国があり、両者ともロシアのコントロール下にある。こうした地域では散発的な戦争が常に起こっていて、それは今後も継続すると思うが、大規模な戦争となればロシアにも多くの犠牲が出る事が予測されるので、ロシアが攻撃を仕掛けてくる事は無いと思う。ただ、クリミア半島に抜ける地帯の確保のため部分的な軍事行動はありうる。
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