宮台真司「簡単なことだけど、問題の根は深い」無差別事件を起こす無敵の人が生まれる理由とは〜1月26日「大竹まこと ゴールデンラジオ」
1月26日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)にて、大竹メインディッシュに社会学者の宮台真司氏がゲスト出演し、無差別な傷害事件が最近、後を絶たない。では、何故そのような痛ましい事件が起きるのか。自身の見解を語った。
一番有名なのは、2008年の秋葉原無差別殺傷事件と語る宮内。その犯人(加藤 智大)は、犯行前、掲示板に複数の書き込みをしていたという。
「ひとつは、小中学生時代、成績が良く神学校に進学したが成績が揮わずただの人になった。つまり尊厳を失ったということ。もうひとつは非正規の仕事に就くことになって誰でもできる仕事をするようになって、自分は入れ替え可能な存在になったということを言っていた。この5年後に怒った黒子のバスケ脅迫事件でも、その犯人が加藤の全面擁護を行った。自分はたまたま人を殺していないだけで、自分の動機は(加藤と)同じ。自分も高校で劣等生になって尊厳を失った。自分のような存在は、無敵の人と呼ばれるべきで、無敵の人は増えることこそあれ、減ることはないとまるで評論家の様な陳述をした」
と、2008年に、匿名掲示板2ちゃんねる開設者の西村博之が提唱した「無敵の人」(社会的に失うものが何も無いために犯罪を起こすことに何の躊躇もない人)という言葉を引用した犯人の言葉を伝えた。
「自分があるひとつの物差しから外れると、もう誰からも認めてもらえないという風に思いこむ状態。誰でもいい人として扱われる。それで、誰でもいいから人を殺す。先日の大学入学共通テストの際の事件も、ある愛知県の有名な進学校の男の子で、本人曰く東大医学部進学クラスで落ちこぼれてしまった」
似たような事件が繰り返されているので、共通の背景を考えなければいけない。と語る宮台。では、共通の背景とは何なのか。
「簡単なことで、親がとんま。そういう生き方しかないと子供に思わせてしまう。その勝ち組に行く道以外は、人生の落伍者と同じとする親のとんまさがある。ただ、何故親がとんまなのかというと、そういうとんまな親は大量生産されている。それは、子ども時代の育ち方に問題がある。その当時の親たちの問題がある。かなり、問題の根は遡れる。1960年代の団地化が大きい。それまでのたくさんの違うカテゴリーの子供が暮らす社会から、ニュータウンのような画一化したカテゴリーの子供が暮らす社会に変貌した。80年代には遊具撤去、爆竹禁止、秘密基地とか色々な危険と言われることが禁止になった。土地にゆかりの無い人による環境浄化。90年代に性愛からの退却が始まる。人と目が合う社会から、目が合うのを避ける社会に変わっていった。少子化も何もない」
と分析した。
「つまり、色々な生き方がある。色々な喜怒哀楽がある。そういう想像力を小さい頃に養うチャンスが与えられていない」と結論付けた。
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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