吉崎達彦氏「就任から1年、バイデン大統領とアメリカの現状は?」~1月25日「くにまるジャパン極」
アメリカのバイデン大統領が1月20日、就任から1年を迎えた。エコノミストの吉崎達彦氏は、1月25日の「くにまるジャパン極」(文化放送)に初のリモート出演を果たし、アメリカ国内におけるバイデン大統領の立場や、ロシアのウクライナ侵攻問題、アメリカの今後などについて解説した。
野村邦丸アナ「バイデンさんは支持率の伸び悩みや、抱える課題がいっぱいあって、吉崎さんには何度かこのコーナーで『バイデンさん大変だよな~』って話をして貰いました」
吉崎氏「1月20日が就任1周年だったんで、前の日の19日に記者会見をやったんですね。バイデンさんはあまり記者会見をやらない人で、多分歴代でも一番少ないぐらい。それは元々わりと失言が多い人なので『余計なことをさせるな』って感じでまわりが警戒していたんだけど、記者会見を何と2時間もやって、不規則発言もたっぷりと出てきて。特にウクライナの問題で『プーチンは多分侵攻すると思う。でも、小さい規模であればまあイイかな』とか、そんなこと言っちゃダメじゃないですか!ってことをいっぱい言っちゃって(笑)、それでちょっと対応に追われてて……」
さらに今アメリカがロシアを牽制する情報戦をしていることについて吉崎氏は、
吉崎「今ウクライナのアメリカ大使館の人たちの家族を撤退させたり、NATO軍の要請があれば軍隊を出せる準備があるぞとか、ここへ来て急に『やるかも知れないぞ』のフリをアメリカがしているんですけど、元々大統領がビシッと、相手が恐がるようなことを言ってくれれば、しなくても済んだ話なんですよね」
邦丸「フリ、ですね?」
吉崎「プーチンさんがやっていることも別に本気で侵攻する予定って無いと思うんですね。10万の軍隊を国境に配備してってやってるけども、ウクライナを獲っちゃったら大変なんですよ。あの、2014年にロシアがクリミア半島を獲っちゃったじゃないですか。そうすると半島に居た数十万人の人口を全部ロシア人にしなけりゃいけなくて、年金負担だけでも結構大きかった。それを考えるとウクライナをロシアの領土に組み入れるなんて、全然あり得ない話で、プーチンさんの狙いはああいう風に色々やっているうちに、ウクライナ政府がグダグダになっていくとか、NATOの中でアメリカとヨーロッパの相互不信が強まるとか、そうなればメシが美味いっていう話で、今完全に目論見通りに動いちゃってます」
邦丸「アメリカウォッチャーの中には、そもそもトランプさんが大統領の頃のアメリカ不信よりも、バイデンさんによるアメリカ不信の方が実を言うと深刻なんだよねって方もいるとのことですが?」
吉崎「その通りで、ヨーロッパの人たちもトランプはもうしょうがないと。あの人がやってる間はガマンだって。で、バイデンになったら大丈夫だ、アメリカ・イズ・バックってバイデンさんも結構言ってたわけだけど、戻って来たとは言え結局バイデンさんは国内しか見てなくて、あんまり外交に割ける力なんて無いのねって、そんな感じを受けています」
アメリカウォッチャー業界によると、これはバイデン大統領の資質が悪いせいではなく、今のアメリカ全体が問題なのだろうと言う考え方になっているとのことだ。前回の選挙の騒動は今も続き、一部ではかつての南北戦争のような内戦につながるような分断が起きるのではないかと危惧する声もあると言う。
日米同盟の今後や、今春予定されている来日のためにも、バイデン大統領の国内での信頼回復、立て直しが望まれるところだ。
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。吉崎達彦氏はコメンテーターとして毎週火曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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