伊藤惇夫「日米地位協定、なぜ改定の動きがないのか?不思議」~1月13日「くにまるジャパン極」
沖縄県、山口県、広島県の米軍基地の周辺地域で新型コロナウイルスの感染が拡大している。原因は在日米軍の感染対策が不十分だったとみられており、その背景として浮上してきているのが“日米地位協定”だ。
1月13日放送の「くにまるジャパン極」(文化放送)では、政治アナリストの伊藤惇夫氏が、1960年に締結された”日米地位協定”について、日本政府が60年以上見直さないことに苦言を呈した。
そもそも日米地位協定とはどんなものか?
伊藤「例えば、アメリカの軍人、軍属は出入国審査、住民登録の審査はないとなってる。つまり、軍の駐留する空港に行き来する時に関しては出入国審査は何も必要ない。犯罪歴があろうが、ウイルスに感染していようが出入り自由ということになる。一番の問題は、アメリカの軍人・軍属が犯罪を起こした時、第一次の裁判権はアメリカ軍にあるとなっている」
過去の事件を振り返ってみると…
伊藤「1995年に沖縄でアメリカの海兵隊の兵士3人が少女を拉致して集団で暴行した事件があった。実行犯の3人は一度も日本に渡されないまま、不問に付された。2004年に米軍のヘリが墜落したことがあった。この時、アメリカ軍は墜落現場を封鎖。日本は一切手出しできず、真相究明できなくなくなった。日米地位協定が背景にあるから、こういうことになってるわけです」
そもそも日米地位協定が締結されたのが今から60年以上前の1960年。この時の日本はというと…
伊藤「はっきりいって日本は、占領から抜け出したか、抜け出さないかの時期ですから日本側が文句を付けようがなかったのは仕方のないことだと思うんです。ところが、第二次世界大戦の敗戦国のドイツ、イタリアでも米軍が駐留してるわけですけど、当初は日本と同様の協定が結ばれていたんですが、その後、不平等性の解消に向けてアメリカと交渉を続けて全面的に解消してるんです。今、ドイツもイタリアも大使館の土地以外はそれぞれの国の管轄権があるという風に変わっているんです」
では、この60年、日本は解消に向けた動きはあったのか?
伊藤「日本は運用の改善というわけのわからないことを言ってますけど、協定の中身については何も変わってないんです。以前からこういった状況に対して、基地を抱える自治体の関係者などから日米地位協定の見直しをやりなさいという声は挙がってるんですけど、なぜか交渉すらしていない。岸田総理も日米地位協定の改定は考えていないと言ってるんですよ。少なくとも日本の政府は平等な形に持っていく努力をするのが当たり前じゃないかと思うんですけど、全くそういうことが出てこないのが、ものすごい不思議な気がします」
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。伊藤惇夫氏はコメンテーターとして毎週木曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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