アナ歴40年!邦丸連載企画㉖”翁”と呼ばれる放送作家が歌舞伎町で「おじさんホスト」に!

アナ歴40年!邦丸連載企画㉖”翁”と呼ばれる放送作家が歌舞伎町で「おじさんホスト」に!

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【野村邦丸 ワタシの履歴書 ~アナウンサー歴40年記念特別連載企画~】

『第26回 伝説の放送作家「翁」ホスト事件』

「野村邦丸の気分はZUNZUN!」は、実に「濃い」キャラクターのスタッフが揃っていて、中でも一番が構成作家の松本さん、通称「翁(おきな)」。

まだそんな年でもないのに、どこから見ても「おじいさん」にしか見えない。
そこにいるだけでカビ臭いというか、胞子を放出してるんじゃないかという噂がありました。

今でも忘れられないのは「ぼったくりバーで値切った話」。
酔った勢いで入ったバーで10万円を請求されたものの、
粘りに粘ってそれを5万まで負けさせ、
オーナーに「あんた、そんなに粘れるなら、ほかの道でその才能を生かせばいいのに」
と褒められた(?)っていう話もありました。

そんな「翁」を、歌舞伎町のホストクラブに派遣。
「おじさんホスト」の悪戦苦闘ぶりを、私が陰に隠れて実況することになったんです。

課せられた使命は「ドンペリのオーダーをとること」。
一張羅のスーツにネクタイ、胸のポケットにはトイレットペーパーという、
異常なスタイルで「出勤」してきた「翁」。

「これは絶対に指名されないな」と誰が見てもわかります。
そうこうするうち、お店に入ってきた、とある裕福そうな女性を見て、
オーナーが「翁」に「あのお客さん、とってもイイ人だから、
翁さん、接客についてもいいですよ」と。

相手にされず、「翁」はスゴスゴ戻ってくるかと思いきや…。
メインのイケメン君を押しのける勢いで、遺憾なく異常さを発揮、
「ぼったくりバーで値切った話」など、失笑を買わずにいられないダメエピソードを
次から次へと連発すると、なんとお客様は予想外の大ウケ。

ポケットには隠しマイクが仕掛けられていて、
私が聞いていても「素晴らしい話術だな」と唸らされるくらい。

そこへ「そろそろドンペリを…」の非情な指令が。
さすがの「翁」も、これには若干躊躇したようでしたが、
意を決して「なんかオレ、ドンペリ飲みたくなっちゃった~!」って。

お前はどの立場で言ってるんだ、おすがりするように言うべきだろう…
と思ったんだけど、お客様、また大ウケしちゃって…。

「ホントに面白い、このオッサン。いいよ、ドンペリ入れて」って!

そこでドンペリを手にオーナーが登場、「実は文化放送の企画で…」と種明かし、
お客さんにドンペリ注文させるのはオーナーとしては心苦しかったようで。

私も顔を出して「どうもすみません、使わせて頂けるなら音声とか全部変えますから」
と話したら、そのお客様、太っ腹というか、
「全然いいよー。ホント面白かった、久しぶりに腹を抱えて笑った」って、
それでキャンセルしようとしたドンペリを「みんなで飲もうよ、お兄さんも一緒に」って俺にまで声をかけてくれて。

そしたらオーナーが「わかりました。じゃあ、お店からドンペリ出させて頂きますんで」。
いい話でしょ。

その放送を、えのきどいちろうさんが仕事場への移動中に聞いていて、
最終的にどうなるか聞き逃したくなくて、
到着しても中に入らず、ずーっとラジオを聞いてました、って、後に話してくれました。

お客様にもオーナーにも大変お世話になり、
迷惑もかけたのに、当の「翁」は「俺、ホストいけるんだ」と思い込んで、
後でオーナーに「バイトで入れますけど」って売り込んでたらしいです…。

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野村邦丸:1957年1月17日生まれ。川崎生まれ、日大明誠高校・日大法学部新聞学科を経て1981年茨城放送入社、
フリーを経て1991年文化放送入社。2017年定年退職、再びフリーとなる。
「くにまるジャパン極」パーソナリティ。
家族・高校野球・シカゴ(ロックバンド)、そして酒と肴をこよなく愛する。
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【野村邦丸 ワタシの履歴書~アナウンサー歴40年記念特別連載企画~】

『第1回 必修単位を落としてもアナウンサーになれる!?』

『第2回 局の玄関にコタツ、トン汁食べながら生放送で県警から大目玉』

『第3回「完璧にパクった」NHK松平アナに仁義を切った話』

『第4回 主夫として生きるつもりが「いつまでそんなことやってんだ!」と一喝されて…』

『第5回 控室で爆睡、本番でスポーツのスの字も聞かれなかった入社試験に合格で「ビックリ仰天」』

『第6回 どうせ中継はないとくつろいでいたら…』

『第7回 無事野球中継デビュー、連日奮闘もバラエティへの憧れが抑えきれず…』

『第8回 「今までにないニュース番組を作る」確かにタイトルは今までになかったが…』

『第9回 棺を乗せた軽トラの車列を見て「何も喋れない…」』

『第10回 もう家業はダメかもしれん。でも従業員は全員生きとった。これだけや…』

『第11回 阪神淡路から戻った夜「ワンカップの味がしない…」』

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『第13回 超高級スナックの勘定書に顔面蒼白となった若きエース』

『第14回 「ノ…ノムダクニマドゥでふ…」酩酊状態で放送開始!』

『第15回 お前と野球中継するつもりはない。面白い中継をする』

『第16回 本人の知らないところで誕生していた…我がラジオネーム「邦丸」』

『第17回 無謀なワタシを本気で叱ってくれた、後の愛妻ミッちゃん』

『第18回 お待たせしました。七五三のなれの果ての入場です!』

『第19回 阪神淡路、地下鉄サリンの衝撃とリハビリの日々』

『第20回 恐~い借金取りのお兄さんが「まあ、上がれや」』

『第21回 警察公認のノゾキって…そんなのアリ!?』

『第22回 魚を追って、伊勢正三は渓流の彼方へ消えた』

『第23回 木根! 俺はお前の先輩なんだよ!』

『第24回 小倉智昭さん、六本木のど真ん中でブルズの真っ赤な革ジャンですよ。少しはわきまえて欲しいですよね…』

『第25回 吉田照美の「期待ゼロ」宣言に応えてしまった「ZUNZUN」第一回』

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