揺れるミャンマー スーチー氏「有罪判決」の背景にあるもの ~12月7日「おはよう寺ちゃん」
ミャンマー国軍によって拘束されているアウンサンスーチー氏が、社会不安を引き起こしたとする罪などで禁錮4年の有罪判決を受けた。12月7日のおはよう寺ちゃん(文化放送)ではこれについて寺島尚正アナウンサーと火曜コメンテーターで上武大学教授・田中秀臣氏が議論を繰り広げた。
国軍系複合企業との合弁解消に動くキリン
スーチー氏は軍がクーデターを起こした今年(2021年)2月1日に拘束された。これまでに少なくとも12件の罪で訴追され、首都のネピドーに特別に設けられた法廷で審議が続いている。社会不安を引き起こしたとする罪、去年行われた総選挙の運動期間中の集会で新型コロナ対策の規定に違反したとする罪、これについて禁錮4年の有罪判決が言い渡された。しかしその後、国軍司令官が禁錮2年に減刑するよう指示したとのニュースも入っている。
「国家機密法違反、汚職などの罪にも問われているとのことですが、田中さん、今後も厳しい判決が続きそうですね」と寺島アナ。田中氏は次のように分析する。
「そうですね。この間の総選挙の時にスーチーさんが率いているNDL(国民民主連盟)が大勝したんですが、国軍はそれの結果を無効にしているわけですね。2023年に総選挙をまたやると。ですので禁錮を4年から2年にしたわけでしょ。その間スーチーさん事実上政治活動できないわけですから。また、釈放されたとしても政治的には大人しくしないといけなかったり立候補できないなどの制約がでてきますので、国軍が法廷を利用してNDL潰しをやっているということなんじゃないですかね」(田中氏)
同日、ミャンマーでの国軍系複合企業との合弁解消に難航するキリン(キリンホールディングス)は、合弁解消に向けてシンガポール国際仲裁センターに仲裁を提起した。この背景を寺島アナが解説する。
「キリンは2月にミャンマーで起きたクーデターを受け、『キリンのビジネス規範と人権方針に根底から反する』として合弁解消を表明しました。キリンによるとその後当事者間で交渉を試みたのですが、国軍系複合企業がキリン側の提案を拒否する姿勢を示す一方で、11月にはミャンマーブルワリー(合弁会社)の清算を現地の裁判所に申し立てました」(寺島アナ)
田中氏は、「キリンの態度は毅然として良いんじゃないですかね。やっぱりコンプライアンス上、人権問題を重視するのは民主国家である当たり前の構えですからね」とキリンの対応を評価。「これは(22年2月に予定される冬季)北京オリンピックにも言えることですね。ニュースで入ってきている中では、(アメリカの)バイデン政権が外交的ボイコットを取るようだというね。正式発表ではないようですが」と寺島アナの指摘に、「日本も外交的ボイコットを積極的な形で考えたほうが良いんじゃないかと思いますね」と付け足した。
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