農林水産物「輸出額1兆円超え」 でも手放しで喜べない理由 ~12月2日「おはよう寺ちゃん」
今年(2021年)の農林水産物食品年間輸出額は初めて1兆円を超えることが確実になった。12月2日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、寺島尚正アナウンサーと木曜コメンテーターでストラテジストの嶋津洋樹氏がこのニュースについて議論を展開した。
アジアの富裕層を中心に巣ごもり需要で人気に
まず寺島アナが今年の輸出状況について説明する。
「1月から10月の輸出額は前の年の同じ時期に比べ、28%増の9734億円と大きく伸びています。アジアの富裕層を中心に、人気の高い牛肉やお酒が全体を引っ張ったと言います。品目別に見ると、和牛などの牛肉が90%増、ウイスキーが84%増、日本酒81%増となっています」(寺島アナ)
これに対して嶋津氏は次のように話す。
「従前からこういう政策を取ってきていました。日本の内需の拡大には限界がありますし、諸外国から貿易自由化を求められているので、それに対応するためにも日本のほうも外に打って出ようということでやってきて、それが着実に成果を現していることだと思うので、そういう政策に則った成果だということですね」
中国ではホタテ貝が人気で2倍に増えている他、青果物だとイチゴが73%の増加。「アメリカや中国向けの巣ごもり需要の増加が関係していると言います」と寺島アナ。日本は年間輸出額1兆円の目標を2019年に既に掲げていたが、2年越しでの達成となった。
嶋津氏はこれに対して懸念点も指摘した。
「今後も伸びていくと思います。そうすると偽物が出てくるようになります。これはすでに問題になっているので、対応が必要になってくるわけですね。この仕組みづくりは政府が取り組むべきだと思っているので、人気になっているだけに性急に必要なことだと思います」
また、嶋津氏は日本酒とワインの例を取り上げて、世界的に人気で価格高騰が進むワインのように、国内で日本酒を安い価格で楽しめなくなるのではとの懸念も示した。
「(人気が出るのは)良い話なんですけど、手元に残らないのは不安だなと思います。供給量を増やすのは簡単ではないですからね」(嶋津氏)
「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~9時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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