広告の未来を考える#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

番組レポ 12/1, 2021

2020年における日本の総広告費は、前年比88.8％の6兆1594億円でした。2011年の東日本大震災以来8年連続でプラス成長を続けてきましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で9年ぶりのマイナスとなりました。これは、リーマンショックの影響があった2009年に次ぐ下げ幅となっています。日本の広告費は大きく「マスコミ4媒体広告費」「インターネット広告費」「プロモーションメディア広告費」に分類されますが、マスコミ4媒体広告は前年比86.4％と6年連続の減少となりました。内訳は、新聞が前年比81.1％、雑誌が73.0％、ラジオが84.6％、テレビが89.0％と、すべての媒体で減少しています。プロモーションメディア広告は前年比75.4％で、各種イベントの延期・中止に加え、外出の自粛なども影響しました。一方、インターネット広告は前年比105.9％で増加と一貫した伸びを見せており、マスコミ4媒体の2兆2536億円に匹敵する2兆2290億円となり、広告費全体の36.2%を占める市場に成長しました。

インターネット広告とは、デジタル広告やオンライン広告とも言われ、PCやモバイル端末などインターネット上で展開される広告です。ネット上で検索していると広告をよく目にすると思いますが、それがインターネット広告です。この中で特に成長を見せているのが、動画広告です。2017年にはインターネット広告費のうち9.5％と1割未満でしたが、2018年には14.0％、2019年には19.1％と年々増加し、2020年には22.0%の3862億円まで伸びできました。これは前年比121.3％と、インターネット広告費全体の伸び率を大幅に上回っています。2020年3月にサービス開始した5Gの影響も大きく、今後さらに通信環境の向上が期待できるので、より伸びてくると考えられています。

2020年は新型コロナウイルスという未知のウイルスにより、予測不能な大きな変化の1年となりました。特にデジタルトランスフォーメーションが急速に進み、数年後、あるいは数十年後に実現するである世界が突然訪れました。だからと言って今後全てがデジタルに取って代わるわけではないと思います。デジタルが普及した結果、プライバシー配慮など新たな課題が出現し、またデジタルだけでは伝えきれない情報を届ける役割を担うものが必要となってきます。デジタルの力を利用し、それぞれの強みを相乗的に生かし、広告全体の価値を高めていけると期待しています。

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」11月22日の放送では、雑誌「広告」編集長で博報堂monom代表の小野直紀さんと、アドテック東京事業責任者でComexposium Japan代表取締役社長の古市優子さんにご参加いただき、「広告の未来を考える」について熱いトークが繰り広げられました。

ゲスト紹介

1人目の小野直紀さんは2008年博報堂に入社後、空間デザイナー・コピーライターを経て、プロダクト開発に特化したクリエイティブチーム「monom」を設立されます。社外では家具や証明、インテリアのデザインを行うデザインスタジオ「YOY」を主催され、これまでに文化庁メディア芸術祭優秀賞・グッドデザイン賞・グッドデザインベスト100・日本空間デザイン賞金賞などを受賞されました。現在は博報堂が発行する広告の雑誌「広告」編集長もされています。

2年前にご出演していただいた放送回はこちらから
第2回「ものの価値を伝えるには？」
株式会社ジェイ・キャスト執行役員蜷川聡子
博報堂「monom」代表/雑誌「広告」編集長小野直紀
https://podcastqr.joqr.co.jp/programs/hamacafe/episodes/93c2311c-0180-4906-983b-ac6e8c9962ea

2人目の古市優子さんは大学卒業後、サイバーエージェント入社と同時にCyberZ

に出向されました。優秀な成績を収められ、退職後はアメリカにて翻訳などフリーで活動されました。2013年よりDMG Events、現在のComexposiumに入社します。アイメディアニュースサミットなどの新イベントの立ち上げ、アドテック東京のコンテンツ責任者を経て、現在はアドテック全体統括をされています。