パラトライアスロン秦由加子選手「競技を継続する」~11月23日(火) ニュースワイドSAKIDORI!
パラトライアスロンで東京パラリンピックに出場した秦由加子選手が、23日、文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」内『応援!ユニバーサルスポーツ』に電話出演。東京大会に出場できたこと、義足作りで支えてくれた技術者に感謝を伝えながら、3年後のパリ大会に向けて競技を継続する意向を示した。
秦は5年前のリオデジャネイロ大会で6位入賞を果たしており、東京大会での期待も大きかった。元々、日本障がい者水泳連盟の国際大会強化指定選手に選ばれるほどの実力のため、スイム(750m)はトップだったものの、次のバイク(自転車/20キロ)で順位を落とし、最後のラン(5キロ)でも伸びず、6位でフィニッシュした。試合後のインタビューでは、「1つでも上の順位をと思ったが、世界は強かった」と肩を落とした。
あれから3ヵ月、秦は東京大会をどう振り返っているのか、斉藤キャスターが訊くと、秦は「一生に一度しかない東京でのパラリンピックが終わったなんだな、と。コロナ禍の厳しい状況の中で開催いただいた感謝の思いは特別なものがある」と答えた。
斉藤が「ゴールの瞬間の笑顔が美しかった。自然と笑みがこぼれたのか」と尋ねると、秦は「苦しいレースではあったが、最後の最後、フィニッシュする時、苦しい表情ではなく、出場させていただいてありがとうございますという感謝の気持ちを、たくさんの人に伝えたいと思っての笑顔だったのかな」と思い出していた。
パラトライアスロンというのは、トランディション(スイム⇒バイク、バイク⇒ランに種目が移る際の切り替え)が非常に大事だ。秦はスイムの時は右脚に義足をつけないが、バイクの時は2年前まで義足をつけて自転車を漕いでいた。しかし、海から上がり、義足を装着する際に時間がかかること、義足の中にどうしても汗がたまる等の理由で、義足をつけずに、左脚だけでバイクに挑む決断を下し、この2年間戦ってきた。その経緯や苦悩を、前回の出演時に知った松井アナが「バイクの時に義足をつけない決断は、本番で間違ってなかったのか」と迫った。すると秦は「やはり、全く後悔はない。2019年の(東京パラリンピックの)プレ大会から(義足をつけず)、義足の中に汗がたまり、バイクを漕いでいると義足が落ちそうになって止まって、汗をぬぐって(ということをしていた)。今回は片方の脚(左脚)で最後まで全力で走ることができたので、決断に後悔はない」と言い切った。
また、秦の義足のソール(走る時に地面に触れる部分)の感覚は非常に繊細で、タイヤメーカー「ブリヂストン」のスタッフが、一から手作りしてくれたことに、斉藤は松井はとても驚いていた。斉藤がそれについて秦に振ると、「タイヤを作り続けてきた技術を義足のソールに存分に込めて作っていただいた。どんな路面でも、どんな天候でも安心して走れるソールを作っていただいた」と感謝を伝えていた。
松井が「3年後のパリ・パラリンピックを目指すのか」と確認すると、秦は「現時点ではパリを1つの目標として、競技を継続する意向でいる」と答えた。斉藤が現在のトレーニング状況について問うと、秦は「今は少しオフ期間ということで、ゆっくりしている」と声が弾んだ。ちなみに秦は、12月3日、4日に行われる、ファッション誌「ヴォーグ」のチェンジライブというオンライントークフェスに出演が決まっている。出演は12月3日とのこと。斉藤が何について話し合うのかを訊くと、秦は「今回は、本当の豊かさを問い直すというテーマ。僧侶でメイクアップアーティストの西村宏堂さん、作家でAV女優の紗倉まなさん、ジャーナリストの佐久間裕美子さんと私の4名で、全く違う背景の違う皆さんと語り合うのが楽しみ」と教えてくれた。
雑誌「アエラ」(去年6月15日号)の表紙を飾った秦は、これまで自分の言葉で丁寧に、パラトライアスロンをはじめ、パラスポーツの魅力を発信してきた。その積み重ねで、今、各界から注目を集めている。今回の「ヴォーグ」のイベントに声がかかったのも、そうした経緯があるからなのだろう。東京パラリンピックでは思うような結果が出なかった秦だが、まだまだアスリートとして成長する時間とチャンスはある。オフタイムの今は、これからのトレーニングや歩みに向けて充電の時と位置付けている様子が今回の出演で伝わってきた。
(構成 後藤)
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