政府の経済対策はほぼ無駄?~11月19日斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!
政府は19日、総額55兆7000億円となる過去最大規模の新たな経済対策を閣議決定した。この経済対策を経済の専門家はどう見ているのか?「ニュースサキドリ・後半」(午後4時2分~)では、慶應義塾大学ビジネススクール准教授の小幡績さんに電話で聞いた。
「ほぼ無駄」。今回の経済政策、全体としての評価について問うと、小幡氏からは開口一番、「考え方が間違っている」という指摘がなされた。ほとんどの対策が目的もはっきりしていないことから「いらない」のだという。
― コロナ禍で傷んだ経済、景気を回復させるための政策と言うが、実は数字的にも現在景気はまあまあ良い。しわ寄せを受けている特定の業種、飲食業や観光業、しかも大手企業ではなく、中小企業、社会の中でも弱者に被害が集中しているので、経済全体を良くする政策は全く必要がなく、弱者を救う政策=壊れている社会政策が必要。今回の財政支出はほとんどが経済的な扶養なので考え方が間違っている。
「18歳以下への10万円相当の給付」、「貧困世帯への10万円の現金給付」、「売上が減少した事業者へ最大250万円の支給」等は社会政策になるのか?
― 貧困世帯を救う必要があるのであれば、(現金給付ではなく)持続的な政策であり、今回の補正予算でやることは間違いで、現金だけを配っても仕様がない。彼らが仕事を失っていれば、仕事を付けるようにする、妥当な職を見つけるようにする、そのための教育を与える、といったサポートをする必要がある。お金で済まそうとするのは手抜き。コロナ禍で影響を受けた中小企業の中でも前に進もうとしている、やる気のある人には優遇して融資し、借金の減免や(銀行と協力して)軽減するなどの対策で強力に支援をする。廃業や仕事がなくなって店を閉めてやることがなくなった人には売上げ補填ではなく、生活の補填=失業手当に近い弱者支援が必要。事業を続けたい人には社会政策を、事業を辞めた人には営業支援と分けていかなければいけないと思う。
一方、小幡氏が評価したのは、“賃上げ”についてだった。
「看護師、介護職員、保育士などへの賃上げ」についてはどう評価するか?
― これはいいのではないか。もっと早く、コロナに関係なくやって下さい。元々、この分野は大変。人不足でコロナに従事している人にはもっとあげてもよいのでは。瞬発的に手厚く、長期的に(給料を)あげたらよいと思う。
最後に、「今、本当に必要な政策は?」と聞いてみた。
― 今、景気対策は一斉しない(しなくてよい)が、1年後、2年後にはその反動で必ず景気が悪くなる。その時に一気に使うため、政府は今資金を貯めておくべき。
金曜コメンテーターの経済ジャーナリスト・荻原博子さんは、「出しておくことは決して無駄でないと思う。消費減の中で、ガソリン・電気・水道・ガス等上がっているので家計は危機感を持っている。家計を温めてあげることが必要」としながらも、やはり、「使い方はおかしい。すべてに総花的にお金をつけているのはいけない」とし、「本当に下支えしなければいけないところにどんとお金を突っ込むことが本当に望ましい」と指摘した。
本当に必要なところに、必要なお金を使う。今回の経済対策の行方に注目が集まる。
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