法政大学大学院 白鳥浩教授「文通費の不透明性が政治の信頼を損なう」と警鐘!~ニュースワイドSAKIDORI
国会議員に毎月100万円が支払われる文通費(文書通信交通滞在費)が、
10月31日の衆議院議員選挙で当選した議員にも、10月分が満額が渡されていた問題。与野党で見直しを求める声が拡がっている。
自民党茂木幹事長は16日、10月分について
新人議員から全額を回収して、寄付する方針を明らかにした。
公明党の山口代表も、同様の対応を取る考えを表明している。
一方、立憲民主党は16日の執行委員会で、
日割り支給を可能とする法案を作り、臨時国会での議論を目指す方針を決めた。
文書通信交通滞在費とは、
★主に何に使うお金?
★国会議員にとって必ず必要なものなのか?
また、
★これまでなぜ日割りで支給できる仕組みがなかったのか?
★日割りでの支給を可能とする法改正は簡単にできるのか?
これらの疑問に、現代政治分析が専門の
法政大学大学院教授、白鳥浩氏が電話で答えた。
まずは文通費とは何か?
「文通費とは“税金”を原資とする経費のこと。
国会法第38条には
『公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、
別に定めるところにより手当を受ける』と書いてある。
つまり、元々は手紙を送ったり電話をかけたりすることへの経費として
手当てするものだったのだが、その後、交通費とか滞在費にも使えるようになり、
その使途が拡がっていった。
この文通費は、ちゃんと仕事をするのであれば必要なのものだと言える」と説明。
その実態については
「例えば自分の選挙支部に寄付したり、自分の資金管理団体に付け替えたり、
ひどい場合は投資に使っていた人もいるように聞く。」
そういうことが行われる背景には
「公開義務がなく、領収証の提出も必要ないことがある」とし、
「いわゆる『第2の給与』『第2の歳費』と言われてしまう」と述べ、
「先ほども言ったように、この文通費は“税金”から支払われているので、
何に使ったか分からないというのは望ましくない。
税金を払っている国民からすると、納得がいかないと思ってしまう。
文通費は経費なので非課税となっている」と問題点を指摘した。
ここで斉藤キャスターから
「今回のように1日しか在籍していなくても、1ヶ月分の文通費
100万円全てが支払われるという仕組みについてはどう考えるか?」と問われ、
白鳥氏は、
「国会議員の中には文通費を給料、歳費だと思っている人がいるようだが、
何度も言うがこれは“税金”を原資とする経費なので、
国会議員としての仕事に使われなければならない」と述べた。
続いて、
「今年の1月29日に日本維新の会が、文通費の日割り支給や使い途を公開するための
歳費法改正案を参議院に提出したが、廃案になってしまった。
この問題は国会議員の間ではアンタッチャブル、触れてはいけないことで、
声を上げると無視されるような雰囲気があったのか?」と斉藤キャスターが質問。
白鳥氏は、
「実はこの問題、以前にも問題になったことが何度かあった。
例えば2009年の民主党への政権交代があったときの衆院選では、
月末に投開票が行われ、その結果2日間しか在籍していないのに
文通費も歳費も満額支払われた。
当然疑問の声が上がり、歳費は日割りになったが文通費は満額のままだった」と回答。
これを受けて斉藤キャスターが
「文通費を日割りにする仕組みが、どうして今まで出来なかったのか?」と質問。
「例えば議員が自分の政策や成果をネットで国民に発信していた場合、
プロバイダーに支払う料金は日割りには出来ない。
こういうケースがあるため、文通費は日割り計算には向かないと認識され、
日割りにする仕組みが作られなかったのではないかと推察できる」と答えた上で、
「文通費の問題は、日割り云々ではなく、何に使ったかということを
領収書を添付した上で報告する必要がないことにある。
ビジネスの世界はもちろん、学者の世界でも経費には領収書を添えるのが常識で、
国会でも同じようにすればいいだけの話だ。
税金を払うものとしては、税金が原資となっている文通費が
何に使われているのか分かるよう、透明性のあるものにしてもらいたい。
そうしなければ政治の信頼性が損なわれてしまう」と述べた。
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