大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 今年スタートの「人生100年時代対応・住宅ローン」で、老後のローン返済不安に対応できる?!(おとなライフ・アカデミーWEB)
今を楽しく生きるオトナ世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。
この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。
2021年11月13日の放送は、ついにリリースとなった、移住・住みかえ支援機構(JTI)の新制度・残価設定型ローンについて。なんでも、老後に収入が減る不安に応え、さらに、オーバーローンの不安も解消する、画期的なローンとのことですが・・・。
全く新しい住宅ローンが、とうとう日本で始まります!
私が代表理事をつとめる移住・住みかえ支援機構(JTI)で、とうとう「残価設定型住宅ローン」がリリースされました。
今年(2021年)11月から、数件の金融機関で、商品として売り出しが始まっています。
ありがたいことに、すでにいくつかの銀行さんから導入をご検討いただいています。
また一般のお客様からもJTIに「残価設定型住宅ローンを借りたい」というお問い合わせもいただいていて、順調な滑り出しかな、という印象です。
老後の収入減や、オーバーローンの不安を解消する「魔法のローン」?!
残価設定型住宅ローンとは、簡単に言えば、事前に設定した月以降は、返済額を3〜4割まで減らすことの可能なローンです。
この「事前に設定した月」のことを「残価設定月」と呼ぶため、残価設定型住宅ローンという名前なわけです。
たとえば、月の返済額が12万円になるローンを借りていたとしましょう。57歳を残価設定月とした場合、57歳以降は、返済額を3〜4万円まで下げることが可能になります。
もちろん、「57歳までの返済額が通常よりもかなり高くなる」といったことはありません。
また、返済額を下げる必要がない場合、12万円を返し続けることも可能です。
また、住む場所が別に見つかったり、所有者が亡くなってしまったりで、家を持ち続ける必要がなくなった場合、ローン残債額で家を売却することが可能です。
つまり、老後に収入が減る不安に応え、さらに、オーバーローンの不安も解消する、画期的なローンなのです。
このローンの仕組みを思いついたのは今から15年ほど前でした。いざ実現すると、本当に感慨深いものがあります。
15年以上にわたる、賃貸市場データの蓄積から開発されました
残価設定型住宅ローンって、実は結構難しい金融技術を使っていて。
というのは、20年、30年先の家の価値を、ローンを借りる時点であらかじめ把握できている必要があるんですね。
これがなぜできるかというと、この計算の際には売却ではなく、賃貸の値段を計算しているから。
賃貸は、家の維持・管理が行き届いてさえいれば、かなり長い年月にわたって値段が安定する、特殊な市場なんです。
家を借りた経験のある方はわかると思いますが、借りるときって、家の耐震性や品質というよりは、まずは広さや中の綺麗さに目がいきませんか。
耐震性や家の品質で家賃に大きな差が出ることは少ないですよね。
もちろんこれは、移住・住みかえ支援機構が15年間、賃貸借り上げの運営を行ってきたデータが蓄積されてきたこそ言えることです。
移住・住みかえ支援機構以外の機関や会社では、このローンは作れなかったのではないか・・・と、密かに自負しています。
具体的に借りるときは・・・?
さて、実際にこのローンを借り方はとてもシンプルです。
まず、住宅金融支援機構から借りる「フラット35」を借ります。
そこに各種金融機関が提供する「残価オプション」を付けていただくと、その組み合わせによって、「残価設定型住宅ローン」が完成するイメージです。
ちなみに、現時点では、このローンはパイロット版として始動しており、使える地域は限定されています。住宅を購入される地域が適用可能かどうかは、各金融機関までお問い合わせください。
親しみやすさは課題の一つか?!
ラジオで、メインパーソナリティの残間さんにもご指摘いただきましたが、「残価設定型住宅ローン」という名称は少し分かりづらいですね。
放送では「残間さんがこのローンのイメージキャラクターになってはどうか」という話でも盛り上がっていましたが(笑)。
現時点でも、扱ってくださっている金融機関さんは、それぞれの相性を決めてくださっています。
今後、このローンを扱ってくださる金融機関がどんどん増え、親しみやすい愛称が生まれてくることを願っています。
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。金融商品などの利用や法制度については、必ず取扱金融機関のサイト等で最新の情報をご確認ください。
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
また、皆さまの大切な我が家をケアするパートナーとして、入居者トラブルにも責任を持って対応しています。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
カウンセリングやご相談は無料。資格を持ったスタッフが、皆さまの家についてしっかりとお話をうかがいます。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…