最大2万円分のマイナポイント付与はマイナンバーカードの普及に繋がるのか?~11月11日ニュースワイドSAKIDORI
自民、公明両党は政府が検討している経済対策として、買い物などに使える最大2万円分の「マイナポイント」を付与する事業を盛り込むことで同意した。このことを受けて、「ニュースサキドリ・後半」(午後4時2分~)では野村総合研究所未来創発センター制度戦略研究室の室長・梅屋真一郎氏(※1)に電話を繋ぎ、今回のマイナポイント事業の効果と課題について話を聞いた。
岸田内閣の目玉対策のひとつ、所得制限を年収960万とした上での18歳以下の子どもが対象の10万円相当の給付に加え、注目されているのが、最大2万円分のマイナポイントを付与する事業(※2)。梅屋氏はまず、この事業が「希望すれば全国民が対象であること、全額消費に回ることから、コロナで低迷した消費活性するための対策としての効果が期待できる」と指摘した。
3段階に分かれているポイントの付与。この事業はマイナンバーカードの普及に繋がるのか?
― 実は、昨年行われた5000円分を付与するマイナポイント事業では、事業前はおよそ2000万枚だった交付数が事業後におよそ5000万枚となり、3000万枚程度、着実に増えている。今回は5000円ではなく最大2万円ということで金額も多いので、少なくとも同程度、場合によっては同程度以上の増加が期待できるのではないか。どの程度わかりやすい、且つ簡単な仕組みでできるようにするかがカギ。
一方、マイナンバーカードの健康保険証としての利用について、その現状も聞いた。
先月20日に運用が始まるも、先月31日時点で実際に利用できる医療機関や薬局が5.8%と少ないのはどうしてなのか?
― 医者側のシステムの改良が必要で、準備に時間がかかる、カードを全員が持っているわけでもなく、そして、健康保険証の登録もまだまだ進んでいないことから、おそらく医療機関側もまだまだ様子見のケースが多いのではないか。ある意味、“鶏が先か、卵が先か”状況。マイナンバーカードが普及しなければ、準備が進まないし、準備が進まなければマイナンバーカードを申し込もうという人も増えない。その点で、今回のマイナポイントはある種、“卵を先に準備する話”。ポイント(の付与)をきっかけにカードを取得して、保険証を登録する人が増えれば、医療機関の対応も増えていくので、これから徐々に(登録者が)増えていくと期待している。
11月1日時点で交付率は39.1%(総務省)。デジタル化が進むなかでマイナンバーカードはカギになるものだと梅屋氏はいう。「今後、国としては便利なメリットを紹介して取得してもらう、(個人情報が洩れるのではという)不安を持つ人への対応をしっかりすることが必要だ」とも指摘。今後の動きが注目される。
(※1)政府のIT総合戦略本部新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会の構成員として、マイナンバーの制度設計に携わる。「これだけは知っておきたいマイナンバーQ&A」の著者。
(※2)今回のマイナポイントの付与は最大2万円分で3段階にわかれている。
①新たにマイナンバーカードを取得した人にはキャッシュレス決済で利用した金額の25%のポイント、5000円分を上限に付与
②保険証として利用するための事前登録を終えると7500円分を付与
③マイナンバーと口座のひも付けを金融機関に申請すると7500円分を付与
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