スポーツライター斎藤寿子さん「全員バスケで銀メダル!」~11月9日(火) ニュースワイドSAKIDORI!
東京パラリンピックを取材したスポーツライター斎藤寿子さんが、9日、文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」内『応援!ユニバーサルスポーツ』に電話出演。銀メダルを獲得した車いすバスケットボール男子日本代表やMVPを獲った鳥海連志選手、日本代表のベテラン香西宏昭選手や藤本怜央選手がプレーするドイツのブンデスリーガについて熱く語った。
斎藤寿子さんはこのコーナーでもおなじみ。パラスポーツに精通し、特に車いすバスケットボールへの情熱と取材力は、他のスポーツライターの群を抜く。今大会の男子日本代表の活躍はさぞ嬉しかったことだろう。寿子さんは数年前から、彼らが世界との距離を縮め、強くなっていると、このコーナーで現状を伝えてきた。それを踏まえ、一美キャスターが銀メダル獲得の要因を訊くと、寿子さんは「前回のリオデジャネイロ大会までにベーシック(基本の技術)を大事にして身につけたことが土台になった。2017年の23歳以下の世界選手権でベスト4に入った時に若手が育ち、その後、代表に入って戦力になったことも大きかったし、それにベテラン勢も刺激を受け、さらに成長した。全員バスケが出来たことも大きかった」と分析した。
ただ、この5年間、なかなか日本代表の順位が世界大会で上がっていかなかったことも事実だ。それについて寿子さんは「例えば世界選手権では、リオ大会でほぼ完敗だった欧州勢に勝ったり、(負けても)競ったり、アジアオセアニアチャンピオンシップスでは、今まで負けていた豪州やイランに勝ったり、世界の強豪国との戦いの中で自信を付けたのではないか」と強調した。
東京パラリンピックのMVPに輝いたのが日本代表の鳥海連志選手(22)だ。一美キャスターが「彗星のごとく現われた」と驚嘆していたが、彼の凄さはどこにあるのだろうか。寿子さんも「あの動きは異次元」と喜びつつ、「クイックネスというキレのある動きは元々世界トップクラスだったが、今回それに加えてすごかったのが、高さを武器に出来たこと。タイヤを大きくして、車いすの座面をリオより20センチ高くした。重心が高くなると安定感が無くなり、キレのある動きをする上でリスクも高い。それでも鳥海選手は東京パラリンピックではスタメンで出たいんだという気持ちで体幹を鍛えたから、あのような(切れのある、ディフェンスを置き去りにするような)動きが出来たのではないか」と振り返っていた。ちなみに鳥海選手は日本代表の攻守の要として全8試合に出場。切れ味のある巧みなチェアワーク、高く頼りがいのあるリバウンダーとして、そのプレーに感動した人も多かったのではないだろうか。
さて、東京パラリンピックが閉幕しても、各地で日常が戻っている。寿子さんは先週ドイツで車いすバスケのブンデスリーガ1部を取材した。日本代表の香西宏昭選手や藤本怜央選手もプレーしているリーグだ。松井アナが2人のチーム内の存在について尋ねると、寿子さんは「ランディルというドイツのトップチームで、12人中6人が東京パラリンピックに出ているようなチームに2人は所属している。ともに主力として欠かせない存在」と紹介した。一美キャスターが「日本代表が銀メダルを獲得したことについて、ドイツではどう評価されているのですか?」と振ると、「車いすバスケ界では、ドイツに限らず、世界から賞賛され、内容的にも『日本のバスケは面白い』と高く評価されている。ただし、香西、藤本両選手が所属するランディルは、開幕前に地元ファンと交流会を開いたそうで、そこで最も人気があったのは金メダルを獲ったアメリカ代表のブライアン選手だった。まざまざと、2人は金メダルと銀メダルの大きな差を痛感し、逆に勘違いをせずに済んで良かったねと気持ちを引き締めたそうだ」と教えてくれた。
そもそも、車いすバスケのブンデスリーガとは何か。松井アナだけの素朴な疑問ではないだろう。寿子さんは「1部から5部まであり、1部と2部を『全国リーグ』を意味する『ブンデスリーガ』と言い、3部から5部は南北に分かれた地域リーグになっている。香西、藤本両選手が所属するランディルは1部のチームで、最も人気が高く、優勝候補に挙げられ、多い時には有料で1000人以上の観客が詰め掛ける」と紹介した。それにしても5部まであるとは・・・一美キャスターのリアクションも頷ける。
ちなみに、寿子さんは放送外で、『今、ドイツでは入国手続きやスポーツ観戦、店内での飲食の時には「ワクチン接種証明書」を提示すれば、パスできる。今回のブンデスリーガの取材も同じ。州によって少しずつ違うが、ほとんどの場合、お店や電車内、屋内では必ずマスクをつけなければいけないが、外を歩く時は外している人も多い。昨年は、車いすバスケのドイツリーグは1部のみリーグ戦が行われたが、無観客だった。今年、ランディルは会場の収容人数の50%までOKにしているようだ』ということも教えてくれた。
一美キャスターが言ったように、銀メダルで勘違いしない車いすバスケの日本代表がいる限り、次のパリ・パラリンピックでも活躍が大いに期待できる。
(構成 後藤)
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