『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 破格の安さで売られる駅近築浅中古物件専門家が安さの理由を解説(おとなライフ・アカデミーWEB)
今を楽しく生きるオトナ世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。
この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。
2021年10月16日の放送は、中古物件の購入を検討するリスナーからのメールをご紹介しました。狙っている家は、駅近で比較的築浅。ただし、接道条件を満たしていないとのことですが・・・
接道条件を満たしていないけれども、駅近にしては破格の家、「買い」ですか?
今回の放送でいただいた質問は、なかなか「通」でした。ご紹介します。
接道条件を満たしていない中古住宅が安く売りに出ていました。
築10年、50cmぐらいの幅の通路を使って道路に出るようです。
他人の土地なのですが、この通路はずっと使用することができるものなのでしょうか?
駅近で魅力的なので悩んでいます。
(海賊オヤジさん・40代・男性)
どういう状況なのかが文面だけだと分からないのですが、図にするとおそらくこんな感じでしょうか。
建物を建てるときは、建築基準法を守って建築する必要があるのですが、「接道義務」も建築基準法に定められているルールの一つです。
これは「建物は幅4メートル以上の道路に、敷地が2メートル以上接していないといけない」というもので、火災や災害時の安全確保のために設定されています。
建て替えができない点については十分考慮を
接道条件を満たしていない家を買ったときのデメリットは、まず、建て替えができないということ。
築10年ですから、それなりの年数住み続けられるとは思います。
が、この家をお子さんに相続させたいといったご希望があるのでしたら、少し検討する必要がありますね。
10年前、どんな経緯で建てた家なのかを確認して
少し不思議なのが、この家、築10年なんですよね。接道条件を満たしていない家を、10年前にどうやって建てられたのか不思議です。
一度、不動産屋さんで、どういう経緯で10年前にこの家が建てられたのかを確認してみたほうが良さそうです。
よくあるのは、最初は一つの土地だったものを、分割して売りに出したケースです。
たとえば、一つの敷地の中に、親子で二つの家を建てていたのだけれども、親御さんが亡くなったとかで、一つの家だけを売りに出したパターンが考えられます。
この場合、道路に面していない家を持っている人は、道路に出るための権利を、無条件で持つことができるんですね。この権利は民法に定められています。
もちろん、原則はお金を払うとか、迷惑にならないようなルートにしなければいけないといった、細かい規定はあるんですけれどもね。
本当は接道基準を満たしている可能性も・・・
それから、もう一つ考えられるのは、本当は接道基準を満たしているケース。
たとえば、接している道路を使うと、駅から大変遠くなってしまうなどのデメリットがあるため、隣の土地を使わせてもらっているケースなどが考えられます。
このケースのように、他の方の土地を通らせてもらう権利を法律では「通行地役権」と呼んでいます。
地役権については、お隣の方と直接交渉して、使用することを認めてもらう必要があります。
お子さんが家を相続されたとき、このケースの場合はお子さんに再度交渉してもらう必要があるかもしれません。
接道条件にまつわる法律は、今年改正が決定しました
というわけで、今回は、接道条件を満たしていない家を購入するべきかどうかについて考えてみました。
ちなみに、隣の土地との関係にまつわる民法のルールは、今年(2021年)に大きな改定が決定しています(施行は、公布日の令和3年4月28日から2年以内)。
同じような状況で悩まれている方は、民法の改正内容についても、軽く目を通しておくと、参考になるかもしれません。
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