今までの常識は間違っていた?吉田たかよし医師が教える「ポストコロナ時代の健康ダイエット」とは?
「コロナのせいでメタボになっちゃったよ」というセリフが職場でもご近所でもよく聞かれる。ステイホームで運動不足、食欲暴走で肥満気味の方が増加中だ。新型コロナウイルスの新規感染確認数は減少しているものの、リモート会議等、新たな職場慣行は定着しつつある中、ポストコロナ時代に合ったダイエットが必要だ。文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」の毎水曜日にお送りしている「SAKIDORIクリニック」コーナーでおなじみ吉田たかよし医師が、驚きの医学の最新常識を教えてくれた。
吉田たかよし医師は、冒頭「注意してほしいのは医学研究が進み、今までの常識がかなり間違っていたことがわかってきた。是非知識のアップデートをして欲しい」と発言。
では、新しい常識とは何か?
なんと「ダイエットこそが肥満の原因である」と言う。聴き逃せない重大な発言だが、アメリカのミネソタ大学で行われた研究結果がある。男女合わせて2000人を10年間追跡調査し、ダイエットをしたところ、逆に体重が増加するというデータが出たというのだ。肥満はBMI(体重を身長で2回割った数字)で評価するが、ダイエットしている人は4.33もBMIが増えていた。これはダイエットしていない人の倍近い数字だ。つまりこのデータだけ見ているとダイエットしない方が太らないということになる!本当にダイエットは肥満の原因となるのか?
吉田たかよし医師は次のように解説してくれた。
「医学的に適切なダイエットだけしている人に絞ると、ダイエットは体重減少に関して一定の効果はあるのだが、全体で見ると少数派だ。現実には不健康で無理なダイエットをしている人たちが多い。そういった人たちが、ダイエットのリバウンドによって、体重を大幅に引き上げてしまう。その結果、平均するとダイエットした方が体重が大幅に増える」
では、具体的にどのようなダイエットが体重増加を招くのかだろうか。
まず「食事を抜くこと」だ。
別のアメリカの研究なのだが、朝食を抜くと動脈硬化のリスクが2倍になるという恐ろしいデータがある。朝食を抜いた分、昼食と夕食のカロリーが増えてしまう、さらに体内時計も乱れてしまうことで、寝る直前に食事したいという衝動が生まれる。これが体重増加の要因になるという。一方、朝食をたっぷり摂り、その分、夕食を軽くするのは良いのだが、夕食を丸々抜くのも良くない。大阪大学の研究では、夕食を毎日食べていた人と比較して、そうでない人は、10%以上体重増加のリスクが男性で1.42倍、女性で1.67倍という結果だった。子どもの頃から言われてきた「3食きちんと食べよう」というアドバイスには医学的な根拠があるのだ。吉田たかよし医師いわく「確かに夕食を抜くとしばらくは痩せるが、やがて脳内で食欲の中枢が暴走を始め、逆に夜中にドカ食いする食生活になる。そして結局リバウンドして太る。また、無理なダイエットで眠れなくなる人も多い。私のクリニックにもモデル志望の方が来て、夕食を抜く生活を続けた結果、不眠症と摂食障害を同時に起こした。そもそも、ダイエットとリバウンドを繰り返すと、体内で老化が猛烈に加速し、百歩譲って痩せたとしても健康にも美容にも良くない」とのこと。
今、老化の研究ではNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という成分が注目されている。これは体内で酵素の働きを助け、ビタミンに似た働きをするものだ。NADが不足すると顔も老けるし筋肉も衰え、脳も老化するという論文が次々に発表されている。逆にNADが体内で減らないようにすると老化が大幅に抑えられる。ダイエットとリバウンドを繰り返すと大事なNADが大幅に減ると確認されている。ダイエットの主な目的は美容と健康だが、無理なダイエットでリバウンドすると美容と健康の両方で本末転倒になる」とのこと。
理想のダイエットの目安について、吉田たかよし医師は「1ヵ月に2キロ程度」を勧めているという。
では運動に関してはやるべきなのか?
こちらも吉田たかよし医師は世間の思い込みに異論を唱える。
「朝の運動が健康に良いというのがかつての常識だったが、中高年の場合、朝運動はしない方が健康に良いというのが新しい常識。朝は血圧が上がりやすく、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも上がってしまう。関節を痛め老化も早め、ぎっくり腰にもなりやすい。運動すると体内で活性酸素が生じ、老化を加速する。通常、体内で抗酸化物質が活性酸素を除去してくれるが、中高年になると、朝この量が不足し、除去し切れなかった活性酸素が全身を巡り、さびる」
朝の運動が良いとされたのは、研究によると、体も丈夫で時間もある大学生を被験者にしていたからなのだそうだ。
2番目の常識に対する、吉田たかよし医師の結論は「若い人にとっては、朝の運動がよいは正しい。ただ、中高年層は、朝、体をほぐす程度の運動が望ましく、しっかりとした運動は昼以降や仕事終わりにすることを強くお勧めする」
そして斉藤一美キャスターが何気なく質問した
「中高年でもラジオ体操程度なら良いですよね?」との質問に、
なんと、吉田たかよし医師から「実はラジオ体操も、今議論がわかれています」という衝撃の答え。
「ラジオ体操議論」については、後日改めて、この「サキドリクリニック」コーナーで解説をしてもらうこととなった。いずれにせよ、こうすれば健康になるという思い込みを捨てる柔軟さを持つことが若さを保つ秘訣かもしれない。
中高年の皆さん、朝の無理な運動にはくれぐれもご注意を。
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