岸田総理も世襲議員。日本に2世3世の世襲議員が多い理由と、その弊害
政治アナリストの伊藤惇夫氏が、日本に2世3世の世襲議員が多い理由や、その弊害について解説しました。選挙制度や日本人の国民性についても触れています。
日本は2世3世の世襲議員が多い。今回、総理に就任した岸田文雄氏も世襲議員だ。
伊藤惇夫氏によると、歴代の総理を見てみても、橋本龍太郎氏以降、菅直人氏、野田佳彦氏、菅義偉氏以外は皆、世襲議員だという。
自民党の議員を見ても、小選挙区で当選した議員のうち33%が世襲議員。これは、世界的に見ても異常なことで、アメリカの場合、下院議員、上院議員の世襲議員の割合はそれぞれ5%程度だという。
一体、なぜ日本は世襲議員がこれほど多いのか? 伊藤惇夫氏は小選挙区制が関係しているという。
伊藤氏「小選挙区で当選するのは1人だけ。当選した議員からしたら、その選挙区は自分の領地。だから、殿様が亡くなると若殿様が跡を継ぐ。実際、そういうことが起きているんです。さらに領地内には殿様を支える後援会、支援団体などの家臣団がいる。殿様を若殿様にすげ替えることでその組織は維持できる。家臣団たちの利権、権力をそのまま維持できる。そういう力も働いているのだと思います」
しかし、誰を議員にするか選ぶのは有権者だ。なぜ有権者は世襲議員に投票するのか?
伊藤氏「有権者はやっぱり、馴染んだ名前、例えばお父さんが大丈夫だったから、息子も大丈夫だという安心感で投票してしまう。日本人は意外と世襲好きですよね。喜んで受け入れる傾向があるのだと私は思います」
ただ、一方で世襲議員が当選することで弊害もあるという。
伊藤氏「もちろん世襲議員の中には、優秀な人もいますが、中には首を傾げざるを得ない人もいる。これに加え、同じ地域で政治の志を持っていて自分の信じた道を歩もうとしている優秀な人の道を閉ざしてしまうことになるのです。政治の世界への優秀な人材の起用が阻害されるわけです」
10月31日には総選挙が行われる予定だが、今回の選挙で自民党は多くのベテランが引退し、その代わりに息子が出ることも多くなるという。
そうした中で、最後に伊藤氏はリスナーに「今、私が話したことを頭に入れて選挙に望んでほしい」とメッセージを送った。
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