吉田たかよし医師『緊急事態宣言解除で久しぶりに酒を飲む時に注意したいこと』～ニュースワイドSAKIDORI

吉田たかよし医師いわく、緊急事態宣言解除を受けて特に注意してほしいのは自宅では普段全く飲まない、またはせいぜい缶チュウハイ1缶くらいだけといった人、つまりしっかり飲むお酒自体が久しぶりの人だ。
こういった人は本来、遺伝的にお酒が弱いにもかかわらず、自分ではお酒が強いと思っている場合が多い。気持ちも高揚しているので突然大量に飲む。すると急性アルコール中毒を起こしたり、体内に発がん物質をまき散らす危険性があるので要注意。
健康を維持しながらお酒を飲むには、体内のアルコールの解毒の仕組みを理解し、自分の本当の体質を知る必要があると吉田たかよし医師は強調する。
人体は2種類のルートでアルコールを解毒している。1つ目が「アセトアルデヒドデハイドロゲナーゼ」という酵素。これが強力に働くか働きにくいかは遺伝子で決まり一生変わることはない。日本人の場合、このアセトアルデヒドデハイドロゲナーゼが強力に働く遺伝子を2つ持っている人は56％で、この人たちはお酒が強い。逆に言えば、強いからこそ過信して健康を害しやすいとも言える。強力に働く遺伝子を1つだけ持っている人は日本人の38％で、本来たくさん飲めないはずだが、後述する「もう1つのルート」で解毒することで、本人はお酒が強いと思い込むケースが多い。そして2つとも働きにくい遺伝子を持つ日本人は4％だ。この人たちは全く飲めない。
お酒が弱い人についてどのように分布しているのかをアメリカで分析が行われたことがある。ルートをたどって行ったところ、突然変異を起こした先祖が1万年前から7000年前の間に中国南部で生まれたと考えられるという結果だった。しかも稲作と一緒に遺伝子が広がったこともわかった。つまりお酒が弱い人は、突然変異を起こした人たちの子孫と言えるのだろうか？吉田たかよし医師の答えは「イエス」だ。
難しい説明になるが、酒が弱い人は、みな遺伝子の変異が同じなのだという。1ヵ所だけグアニンという記号がアデニンという記号に変異している。新型コロナの変異株に人類は苦しめられているが、実は人間も遺伝子を変異させているという訳だ。
「お酒を飲めない」遺伝子は、お酒を飲まずに真面目に米作りを行う際に好都合で、その結果、子孫が増えたという大胆仮説もある。日本人では、5000万人も子孫がいる計算になるが、自分はお酒が強いと思っている人が多く、緊急事態宣言が明けていきなり飲むのはとても危険という結論にいたる。
ではなぜ「自分は酒が強い」と勘違いしてしまうのか？
これはアセトアルデヒドデハイドロゲナーゼとは別の「ミクロゾームエタノール酸化系酵素」という解毒ルートが関係している。よく「無理してでもお酒を飲むと鍛えられる」と言うが、この解毒ルートはアルコールに晒されると強力になる。だから鍛えると確かに飲めるようになるのだが、これこそが危険！あくまでミクロゾームエタノール酸化系酵素は脇役。主役はアセトアルデヒドハイドロゲナーゼでこの働きが悪いと発がん物質のアセトアルデヒドが体内にばらまかれる。例えばこの酵素の働きが悪い遺伝子を1つ持っている人が、毎日、2合の飲酒をすると飲まない人と比べて食道がんが95.4倍も生じやすい。アセトアルデヒドハイドロゲナーゼが2つとも働きにくい遺伝子が揃っていたら、高い確率で食道がんになるのかといえば、こういう人は無理をしてもお酒が飲めないから食道がんにはならない。本来飲めないのに、飲めると勘違いするタイプが危険だということ。

対人関係でお酒を飲むようになった人が多く、自宅であまり飲まなかったのに、宣言解除に伴い、外で飲む回数が増えると急性アルコール中毒になる可能性がある。とにかく久しぶりにじっくり飲む人は周りに顔色をチェックしてもらおう。
どうしても飲みたい場合はスローペースでお願いしたい。ハイペース飲みは発がん物質を生み出す。一口飲んだら、食事、一口飲んだら食事と、できるだけゆっくりお酒を飲もう。お酒を飲める遺伝子を2つ持っていても、食道がんになる確率は飲まない人の4.6倍！肝臓もダメージを受けやすいので注意しよう。

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