『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 「シンドくなったら返済不要」?! 今年からスタートする魔法の住宅ローン・残価設定型ローンとは(おとなライフ・アカデミーWEB)
今を楽しく生きるオトナ世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。
この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。
2021年8月14日の放送は、前後編に分けてお送りしています。
前編はこちら
2030年、持ち家層は窮地に立たされる?! 35年ローンが社会にもたらした「リスクの芽」(おとなライフ・アカデミーWEB)
35年住宅ローンの「救世主」、残価設定型ローンについて。今年の10月から取り扱いが始まるこのローン、一体どんな商品なのでしょうか。
残価設定型の住宅ローンが始まる! ・・・それって、一体何?
前回の記事では、35年ローンを借りた人が老後に住宅ローン破産をする可能性がかなり高い・・・というお話をしました。
ではこの問題、どう解決すれば良いのか。
実は、今年の10月から一部の銀行等でサービス提供が始まる「残価設定型ローン」が、その解決方法となるかもしれません。
返済が苦しくなったら、返済額を半額以下に減らせるローン
このローンの特徴は、一言でいえば「事前に設定した時期以降は、ローンの返済額を半分以下に減らしてもよくなるオプション」が付いていること。
たとえば、毎月10万円のローンを支払われていた方の場合。
この方が、退職後に支払いが厳しくなった際は、申請をすることで、返済額を3万円程度まで減らせるんです。
減額の秘密は、リバースモーゲージにあり
・・・と説明すると、多くの方は「一定の期間で返済を高めに設定することで、定年の時期以降に返済額が少なくなる仕組みなのかな」と思われたかと思いますが・・・。
実は、そうではありません。
申請をすると、この住宅ローンは、指定の「リバースモーゲージ」ローンに借り換えが行われます。
リバースモーゲージというのは、家を担保にお金を借り、借りた方が亡くなった際に、自宅を売ってその借金を返済する仕組みのこと。また、リバースモーゲージはローンの利息だけ返済することになります。
この仕組みを利用して、ローンの残額全てを借り換えると、どうなるでしょう。
その後、毎月返済しなければならない額は、ローンの利息だけということになります。
この仕組みによって、月10万円の支払いが3万円に減額できるんです。
現役時代と同じ返済ができる場合は返済を続けてもOK
ちなみに、減額はオプションなので、返済に困っていない場合は、これまで通りの返済を続けることが可能です。
また、リバースモーゲージは通常、60歳以上で使えることが多いですが、残価設定型ローンの場合は何歳からでも借り換えが可能です。
返済額が安くなるのはいつから?
・・・が、ここで気をつけておきたいのは、いつでも減額ができるわけではないこと。
最初のご説明で「事前に設定した時期以降は」という但し書きがついている通り、借り換えができるのは、ローンを借り入れ時に設定した時期以降に限定されます。
というのも、リバースモーゲージで借り入れられる金額には限度があるからです。
家の価値が年月を経てどれくらい減っていくかは、その土地の場所や周囲の環境など、さまざまな条件によって家ごとに変わってきます。
そのため、ローンを借りられる最初のタイミングで、リバースモーゲージに切り替えられるタイミング(=残価設定月)を決めるわけですね。
リバースモーゲージだと、子供への相続はどうなる?
さて、気になるのは相続の問題です。子供に家を遺したい方にとっては、亡くなった際に自宅が売却されてしまうリバースモーゲージは不安ですよね。
ですが、これも心配は不要です。
亡くなられた際、お子さんが家を手放したくない場合、お子さんにローンを肩代わりしてもらうことが可能です。
ちなみに、お子さんが家のローンを引き継がない=家を手放すことにされた場合、家はそのまま売却されますので、お子さんの経済面での負担はゼロです。
新しいローンだからこそのデメリットも
一見、いいことづくめに見えるローンなのですが(笑)、いくつか注意点があります。
一つ目は、現時点では、新築の家でしかこのローンを選択できないこと。
今お持ちの家のローンを残価設定型ローンに変更するのは、条件が揃っていなければ難しい状況です。
二つ目は、品質が一定以上の家でしかこのローンは使えないこと。
何十年も先の家の価値を確実に予測してローンを借りる必要があるので、それなりに品質が保証されている必要が出てきます。
品質が一定以上の家を建てるためには、現時点(2021年9月)では、通常の家の2〜3割増の値段がかかります。3000万円の家なら、3900万円程度になるイメージですね。
さらに三つ目は、残価設定型ローンを扱う予定の会社がまだまだ少ないこと。今後どんどん増えていくと良いのですが・・・。
10月からスタートの残価設定型ローン、ぜひ検討を
というわけで今回は、残価設定型ローンについて考えてみました。
残価設定型ローンについては、今まで日本になかった全く新しいサービスであるため、まだまだ解説し足りない部分がたくさんあります。
今後このコーナーでもどんどんお話ししていければと思っています。
また、疑問点や知りたいことなどがありましたら、ぜひ番組ホームページやJTIまでご連絡ください。
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パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
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入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
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カウンセリングやご相談は無料。資格を持ったスタッフが、皆さまの家についてしっかりとお話をうかがいます。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…