『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』     2030年、持ち家層は窮地に立たされる?! 35年ローンが社会にもたらした「リスクの芽」(おとなライフ・アカデミーWEB)

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 2030年、持ち家層は窮地に立たされる?! 35年ローンが社会にもたらした「リスクの芽」(おとなライフ・アカデミーWEB)

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今を楽しく生きるオトナ世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。

この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年8月14日の放送は、前後編に分けてお送りします。
前編となる今回は、35年住宅ローンの「落とし穴」について。
家をお持ちの方が広く利用する35年ローン。実は、老後の生活資金を大きく圧迫する可能性があることをご存知ですか。

後編はこちら
「シンドくなったら返済不要」?! 今年からスタートする魔法の住宅ローン・残価設定型ローンとは(おとなライフ・アカデミーWEB)

2035年を境に、社会は大変な混乱に陥る

「住宅ローンを何年間で借りましたか?」

ーーこの問いに対する答えが、2000年以前と以降で大きく異なることをご存知ですか。

2000年、住宅ローンはそれまで最長25年だった返済期間を最大35年まで延ばせるようになりました。

このニュースを目にしたとき、私は「2025年ごろ、社会は大変なことになる」と思ったのを覚えています。

今回の放送では、35年の住宅ローンを借りる全ての人が抱える「隠れた老後破綻のリスク」と、その対策について考えてみました。

退職後まで続くローンを抱えることのリスクとは?

家を買う平均的な年齢が、仮に35歳程度だと考えてみましょう。

35歳の人が25年ローンを借りた場合、完済時の年齢は60歳。
一方、35年ローンでは70歳。定年退職する時期よりあとですね。

住宅ローンが10年延びたことは、つまり「退職後10年近くにわたって、現役時代と同じ額の借金返済を続ける人がかなりの数存在する」ようになることを意味しています。

これって実は、日本の社会において、まだ誰も経験したことのない状況なんですよね。

「退職金で返済すれば大丈夫」だった時代は終わった?!

退職後のローン返済について、多くの人が退職金を返済にあてることを計画されていると思います。

確かに25年ローンの場合は、退職時に残債を退職金で返済しても、老後の生活に大きな影響は出ませんでした。それは、25年ローンの場合、退職時の年齢では残金がゼロに近いか、多くても300万円程度だったから。

しかし、35年ローンの場合、残債が1000万円以上残っているケースもざらにあります。

退職金の額は近年どんどん下がってきており、昨今では2000万を切る企業も珍しくありません。
ローンを完済した途端に、老後の資金がなくなってしまう・・・なんてことも考えられるわけです。

人生100年時代の負の側面とは

さらに、今は「人生100年時代」ですから、退職後の人生がどれぐらい長く続くかは分かりません。

・・・ちなみに、世間を騒がせた「老後の2000万円問題」は、25年ローンを借りて家を買われた方が想定モデル。35年ローンで試算をしたら、結果はもう少し変わっているかもしれません。

35年の住宅ローン=誰も経験していない、老後の高額な借金だった

誰もが、「みんな35年で借りているから大丈夫なはず」と思っている住宅ローン。

しかし、そういう方々のうち、実際のところ自分の老後の生活がどうなるのか、具体的にイメージができている人は少ないのではないでしょうか。

2000年に35歳で35年ローンを借りた方は、2025年に60歳、定年退職の年を迎えます。
現役時代に比べて収入は少なくなる中、ローンの返済が滞り、生活が苦しくなってしまう人や、せっかくのマイホームを手放す人が、少なくない数で出てくるのではないか・・・。

これが、私が冒頭でお話しした「2025年ごろ、社会は大変なことになる」という不安の理由だったわけです。

ではこの問題、どう解決すればいいのか。
後編では、今年10月からスタートする新たなローンの仕組みを解説し、対応策について考えてみます。

後編記事
「シンドくなったら返済不要」?! 今年からスタートする魔法の住宅ローン・残価設定型ローンとは(おとなライフ・アカデミーWEB)

お知らせ

パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
また、皆さまの大切な我が家をケアするパートナーとして、入居者トラブルにも責任を持って対応しています。

JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

カウンセリングやご相談は無料。資格を持ったスタッフが、皆さまの家についてしっかりとお話をうかがいます。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

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土 6:25~6:50

楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…

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