緊急事態宣言解除後にすぐやるべきことは「ワクチン」、「検査」、「病床確保」~ニュースワイドSAKIDORI

緊急事態宣言解除後にすぐやるべきことは「ワクチン」、「検査」、「病床確保」~ニュースワイドSAKIDORI

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新型コロナウイルス緊急事態宣言の全面解除を前に、今やるべきことは?
公衆衛生学の専門家としてWHO事務局長上級顧問を務めた、キングス・カレッジ・
ロンドン元教授、渋谷健司医師が文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」にリモート出演し、解説。

政府は19都道府県に発令している新型コロナウイルスの緊急事態宣言について、
期限の30日で全面解除することを決定した。宣言とまん延防止等重点措置が
全国のどこにも出ていない状況はおよそ半年ぶりとなる。
そんな中、重症化リスクの高い患者以外は自宅療養を基本とする政府の方針に対し、
海外の対策を知る医療の専門家はどう評価しているのか?
冬にかけて第6波が来ると予測される中、今どのような対策を行うべきなのか?
公衆衛生学の専門家として、WHO事務局長上級顧問を務め、この春までキングス・カレッジ・ロンドンの教授だった、相馬市新型コロナウイルスワクチン接種
メディカルセンターのセンター長、渋谷健司医師に聞いた。

第5波では病床が逼迫し、8月には全国で250人が自宅療養中に亡くなったと
報道されている。これは自宅療養ではなく、自宅放置だとの声も。
「日本は世界に誇るべき国民皆保険の国で、誰もが必要な時に必要な治療を適切な
価格で受けられるはずだったのに、それが幻想であったことが露呈したわけで、
非常にショックな出来事と言える」。
渋谷医師は、ワクチン摂取率がかなり上がり、完全に下がりきったとは言えないが、
感染者数がピークアウトしているこのタイミングで宣言を解除し、これまでのコロナ
対策を改め、仕切り直すべきだと訴える。

ではどうするべきなのか?渋谷医師によると・・・
①ワクチン摂取率を上げる
②検査体制の拡充する
③病床の確保
これら3つをこれから進めることが大切とのこと。

①については、先ずは多くに人に2回目のワクチン接種を行い、高齢者や医療
従事者には3回目を準備する。
②については、「これまでを振り返ると、社会を回すためにはワクチンだけでは感染
予防にならないということが明らかになっている。社会を回すためには検査を拡充
することが大事。東京オリンピック・パラリンピックでは、選手のワクチン摂取率が
高く、その上、選手村内で毎日検査が行われていた。選手村の外の東京都では
その時、感染が非常に拡大していたが、選手の間では感染の拡大は起こらなかった。
感染を抑えるためには、ワクチンと検査が大事であることを証明した」と語る。
③については、「先ずは中等症を中心としたいわゆる野戦病院を作ること。酸素
ステーションはあくまで軽症者向けの施設で、自力で酸素を取り込めない中等症の
人には中途半端な施設と言える。やはり中等症の人をモニターできる野戦病院的な
施設が必要。と同時に、重症病床を国立病院機構や地域医療機能推進機構といった
公的な病院がきちんとベッドを確保することが大事だ」と提案した。

今ロックダウンの法制化が叫ばれているが、渋谷医師によると、ロックダウンは
患者が異常に増えて医療崩壊防ぐための手段。ワクチンが登場するまではそれしか
手段はなかった。ところがワクチンが行き届くようになってくると、それまでとは違い、
たとえ感染しても重症化したり死亡する人が少なくなってきた。
つまり、ワクチンの摂取率を高め、検査を拡大して感染者を早くあぶり出し、
野戦病院や重症者病床を確保すれば、ロックダウンしなくても感染拡大を防ぐことは
出来るわけだ。
「ロックダウンの法制化を唱える前に、国民に更なる自粛や時短要請などを求める
前に、国はワクチン接種、検査の拡大、病床確保を早急に行うべき」と渋谷医師。


ここで月曜コメンテーターの前衆議院議員、金子恵美氏から
「緊急事態宣言解除後、ワクチンパスポートの普及は必要か?」という質問があった。
これに対し渋谷医師は次のように答えた。
「現在分かってきたのは、ワクチンが必ずしも感染予防にならないということ。
ワクチンを打てば重症化リスクも死亡リスクも下がる。ワクチンは自分を守るためには
効果がある。ところがワクチン接種者がブレイクスルー感染した場合、自分には
症状が出ていないのに他人に感染させる可能性がある。つまりワクチンが必ずしも
感染予防につながらない。だからこそ、検査がこれからも大事になってくるし、
マスクなどの感染予防対策も引き続き必要となってくる。
体質的にワクチンの打てない人に対し、ワクチンパスポートは差別を生むことが
大いに考えられる。アメリカのCDCが、ワクチンを接種しても検査をすべきだと警告
しているように、ワクチンパスポートより検査を充実させることが大事だと言える」。

検査を拡充すること、そして大きな急性期病院でベッド数を確保すること。
政府には第6波に備えた態勢づくりが求められる。

『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
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