吉崎達彦氏「太平洋を巡る四カ国の外交ゲームが面白い!~吉崎氏がAUKUSを解説!~9月28日「くにまるジャパン極」
9月15日、突如発表された、アメリカ・イギリス・オーストラリアによる新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」。フランスを交えたこの攻防が面白いと、エコノミストの吉崎達彦氏は9月28日の「くにまるジャパン極」(文化放送)で詳しく解説した。
吉崎氏「日本の総裁選も面白いんだけど、太平洋を巡る外交ゲームがめちゃめちゃ面白くて、まず9月15日の水曜日に、だしぬけに『今度AUKUSっていうものを始めます、私ども』ていって、リモートで米・英・豪3ヵ国首脳の会談をリリースするわけなんです。で、ここで『えーっ!!』って驚いたのがフランスなんです。」
邦丸氏「フランスは驚きと同時に『ふざけんなっ!!』と。」
吉崎氏「そうそう。これはどういうことかといいますと、オーストラリアに対して、アメリカが原子力潜水艦の技術を供与しますと。つきましては2016年にフランスが、オーストラリア向けに原子力じゃない普通の潜水艦を売り込むという契約はチャラね!って、つまりドタキャンです。そのぐらい、米・英・豪の3ヵ国は強力なタイアップが出来てるってことをいったわけです。これに激怒したフランスの対応が面白くて。」
吉崎氏は、フランスが激怒する意味について解説した。
吉崎氏「フランス側からすれば契約キャンセルされたのも悔しいけど、騙されたと。今まで全然私にそんな相談もなく、いきなりやられた。面子丸潰れ。なおかつ自分もそれに気づいてなかった。ていうのはかなり恥ずかしい、格好悪いですよね。直ちに、アメリカとオーストラリアから大使の引き上げを行いました。これは外交の世界ではかなり強烈な不満の表明で、特にアメリカに対して何といったか。『これが最古の同盟国への仕打ちか!』と。独立戦争の時、フランスはイギリスを目の敵にしていたから、アメリカの独立をフランスが応援して、海軍まで出した。ついにアメリカが独立した時に記念に贈ったのが、ニューヨークの自由の女神なんです。だから私のような者に何てことをするんだ!ってブチ切れたわけです。」
吉崎氏はフランスのこの怒りについて「キレ芸」と表現し、アメリカとの仲はすぐに修復したことを伝えた。
吉崎氏「その後、マクロン大統領とバイデン大統領が電話会談して『わかった!』と。大使を戻すことに。ただね、オーストラリア大使は戻さない。そしてイギリスは余計な事しかしないから関係無いっていって黙殺してるんですけれども。」
そんなイギリスが何故この「AUKUS」を結成するに至ったのか、吉崎氏はこの後詳しく解説した。潜水艦から貿易協定まで、各国の思惑が絡んだ太平洋を巡る攻防は、さらに混迷を極めそうだ。
<参考ニュース>
【ワシントン、パリ共同】ブリンケン米国務長官とフランスのルドリアン外相は23日、ニューヨークで会談し、オーストラリアの潜水艦導入計画を巡り悪化した米仏関係の修復に向けて今後の協議方法などを話し合った。ルドリアン氏は「危機脱却には時間がかかり(具体的な)行為が求められる」と指摘した。米国務省とフランス外務省が発表した。
中国をにらんだ米英豪3カ国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」創設に伴い、オーストラリアはフランスとの潜水艦共同開発計画を破棄し、米英の支援で原子力潜水艦を導入することを決定。フランスは「同盟間の信頼が崩された」と猛反発していた。
<共同通信ニュースより>
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。吉崎達彦氏はコメンテーターとして毎週火曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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