吉田たかよし医師が警告!コロナ禍で便秘と下痢が増加。大腸がんかもしれないので注意~ニュースワイドSAKIDORI
コロナ禍が長く続き、便秘と下痢で悩む人が増えている。原因はステイホームで外を歩く時間の減少だ。しかし中には「大腸がん」が隠れている可能性があるという。
「SAKIDORI」水曜日の人気コーナー、「SAKIDORIクリニック」を担当する、吉田たかよし医師が解説した。
人は「歩く」という行為で、適度な振動が腸に伝わり、優しくマッサージするような効果が得る。そして健康を保てるのだという。
しかし、コロナ禍における運動不足に加え、何かと我慢を強いられているのでストレスが溜まって、その結果腸の働きが悪くなる。これらが重なって便秘や下痢になるのだが、具体的には便の中に含まれる水分の量が変わるということだ。食べたものを消化するには胃液や膵液といった消化液を混合させ、小腸で栄養素を水分に溶け込ませて吸収する必要がある。水分自体は人体に必要なものだから小腸で栄養素の吸収が終われば次の大腸の段階で水分をしっかり回収して便として体外に捨てる。腸の動きが悪いと便が長く留まり水分を過剰に吸収し過ぎてしまい、便秘になる。逆に腸が動き過ぎると、水分の回収の前に便が大腸を通過して下痢になる。
男女差があり、男性は下痢が多く、女性は便秘が多い。男性は何か異常があればとりあえず変なものは体外に出して身軽にしておく戦略。敵と戦うにはこれが好都合だった。一方、女性は子どもを産むため、多少は栄養素が残る便を安易に捨てず腸の中にキープしておこうという戦略。どちらも合理的。
では体内でどのようなことが起きると便秘や下痢を繰り返すのだろうか?
吉田たかよし医師によると、便秘と下痢を交互に繰り返すのは珍しくなく、腸の動きをコントロールするのが交感神経と副交感神経でこのバランスが悪いと便秘になったり、下痢になったりするそうだ。
中でも最も多いのが過敏性腸症候群。
これには①便秘だけ起こすタイプ②下痢だけ起こすタイプ③両方繰り返す便秘下痢交代型の3つのタイプがある。過敏性腸症候群になる原因は心配事や人間関係のトラブルによる精神的なストレス。これらで交感神経、副交感神経のバランスが悪くなる。
ただし「便秘や下痢になる人は、ストレスを抱えているから過敏性腸症候群だろうと勝手に決めつけることは、絶対にやめてもらいたい」と吉田たかよし医師。
特に多いのが便秘や下痢の原因が「がん」であるケースがあること。実際、臨床の現場で激しい便秘や下痢をきっかけに、大腸内視鏡検査をしたところ、がんが見つかることはよくあるそうだ。
とりわけ注意して欲しいのが、ずっと便秘で悩んでいた女性がある時から下痢が続くケース。元々、便秘だった女性がストレスを受けると、より激しい便秘になるのが一般的。下痢に転じた場合、潰瘍性大腸炎というケースもあるが、大腸がんの可能性も大いに考えられる。それはなぜかと言うと、大腸がんの影響で炎症を起こす物質が増加するからだという。これにより大腸が刺激を受け、下痢になる。また、慢性的に下痢を起こす女性は肛門のすぐ近くの直腸にがんができるリスクが11倍高い。直腸のさらに奥がS状結腸。その奥が下行結腸。これらにがんが出来ると基本は便秘なのだが、たまに下痢を繰り返すことがある。大きくなったがんが便の通り道をせき止めてしまうから。便ががんの手前で渋滞し便秘になる。便がある程度以上たくさん溜まってしまうと、その刺激で炎症性の物質が出て、堤防が一気に決壊する感じで便を出す。そうなるとリセット。また便秘が始まる。これは、見かけは過敏性腸症候群の便秘下痢交代型に限りなく似ている。
となるとやはり、定期的な大腸内視鏡検査が大事になる。内視鏡検査の大きな長所は目で見てわかること。次はいつ頃、検診すればいいこともわかる。予想を大きく超えて大腸がんが成長することはまずない。特別な遺伝子を持っている方を除き、現在では、きちんと検査を受けることで大腸がんで亡くなるのを限りなく低く抑えることが可能となっているのだ。
予防は外を歩くこと!太陽の光を浴びることで活性型ビタミンDが皮膚で合成され、大腸がんを防いでくれる。吉田たかよし医師は最後にこう強調した。「良い陽気の日が多くなる秋は腸内の健康のため、歩こう!」
『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで内容をお楽しみ頂けます。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。