「コロナとの共存はインフルエンザを参考に」 東北大学 児玉栄一教授が提言~ニュースワイドSAKIDORI
新型コロナウイルスによる「行動制限の緩和」へ向けた動きが出始めています。
政府は先週の木曜、ワクチンを接種した人や検査で陰性が確認された人は
緊急事態宣言の対象地域でも、飲食店の利用や
県をまたぐ移動の制限を緩和する方針を示しました。
来月にも実証実験を行った上で、11月以降に本格的な緩和に踏み切る構えです。
これに対して全国知事会は、行動制限を緩和するなら
国民全体のワクチン摂取率の目安を示す必要があるとしています。
ワクチン摂取率が何%に達すれば、行動制限の緩和となるのでしょうか?
災害感染症学がご専門の、東北大学災害科学国際研究所の教授、
児玉栄一氏に直接伺いました。
まず児玉先生が指摘したのは、メッセージの伝わり方について。
「今回政府は“緩和”という言葉を使いましたが、緩和されるのはあくまで
“行動制限”であって、“感染対策”ではありません。
しかし“感染対策を緩和する”と間違って捉えた人がいるように思います。
政府には“行動制限の緩和”ではなく、“感染対策をしっかり行った上での
活動の再開”と言って欲しかったです。」
…うーむ、たしかに伝わり方は違うような…。
ではワクチンの接種率がどのくらいになれば、“活動の再開”が期待できるのでしょう。
「感染対策がきちんと出来ていれば、ワクチン摂取率が
6割から7割でも大丈夫だと言えるかもしれません。
しかし、アメリカやイギリス、イスラエルなど
ワクチン接種が先行していた国が
摂取率が6割を超えた時点で感染対策を緩めてしまったところ、
感染が一気に再拡大してしまいました。
感染対策を緩めてしまうと、たとえ摂取率が9割を超えていたとしても、
感染拡大は抑えきれないかもしれません。
こういう理由から、行動緩和がOKとなる
ワクチン摂取率の目安を示すことは難しいです。
ワクチン接種が終わった人から活動を徐々に再開して、
その都度状況を判断、大丈夫ならもう一歩緩和を進めて、
再拡大の兆しが見えるようなら規制をかける、というように
試しながら進めるようにすべきです。」
…なるほど…。
ここで海外に目を転じてみます。
摂取率が8割を超えている、シンガポール。しかし、再び感染が進んでいるのです。
これはなぜなのでしょうか?
「もちろん、ワクチンの効果が効きづらい
変異種が出てきていることもあると思いますが、
実はワクチンに対しての捉え方に
勘違いがあるのではないかと思います。
“ファイザーやモデルナのワクチンは
9割以上の有効率が確認されている”と報道されています。
しかしこれは”ワクチンを打つだけで
9割の有効率が担保される”という意味ではありません。
ワクチンとセットで”マスクなどの感染対策をきちんとやれば、
9割の有効率が認められる“という意味なのです。
「ワクチンを打ったから安心だ」と考えるのは間違いで、
きちんとした感染対策は引き続き行わなければなりません。」
…なるほど、これからもマスクや消毒は大切なんですね。
さて、タイトルにある「コロナとの共存は、インフルエンザを参考に。」について。
どういうことなのでしょう。
「インフルエンザは、ワクチンを接種しても感染することがあるし、
ワクチンを打たなくても、感染対策をしっかりしていれば
感染しないこともありますよね。
またタミフルのようなインフルエンザ治療薬のお陰で、
感染しても症状が軽く済んで、その人が他の人にうつすことはなくなります。
コロナと共存するためには、インフルエンザと同様、
①ワクチンの摂取率を上げること
②感染予防を続けること
③そして治療薬が開発され、行き渡ること
この3つが条件となります。」
1日でも早くコロナと共存できる日が来ることを期待しつつ、
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