吉崎達彦氏「菅内閣は仕事中毒内閣!? 菅首相のこの1年を振り返る」〜9月14日「くにまるジャパン極」
9月29日の総裁選に伴い、いよいよ退陣が近づいている菅義偉首相。エコノミストの吉崎達彦氏は9月14日の「くにまるジャパン極」(文化放送)で菅内閣の1年を独自の視点で振り返った。
吉崎氏「今発売中の月刊文藝春秋10月号に『菅義偉首相、正面からお答えします』という記事があり、これ多分8月の末ぐらいに収録したものなので、当然菅さんはまだまだやるつもりで、色んな疑問に対して答えているわけです。で、聞き手が元朝日新聞主筆で、アジア・パシフィック・イニシアティブという、シンクタンクの理事長である船橋洋一さん。去年は官房長官時代の菅さん、そして今回は首相の菅さんに、結構聞きにくくても聞くべきことを幅広く聞いていて、これはなかなか参考になるなぁと。」
そんな文藝春秋のインタビューの内容とは?
吉崎氏「やっぱり船橋さんが最初に聞いた点が『首相の記者会見については言葉が響かない、聞かれたことに答えていない、などの声が聞かれ、評判は必ずしも芳しいものではありませんが、どのように受け止めていますか?』と。これに対する菅さんの答えが『私自身もともと能弁では無いし、そもそも政治家は弁舌よりも結果だと。結果を残せばいいという政治姿勢で今までずっと来たので』って、もうここで話が尽きてるんですよねえ。」
さらに菅首相は続けて(退陣発表前ながらも)「イチからやり直します」と答えたという。
吉崎氏「イチからやり直しますって言われて船橋さんも『それはなかなか大変ですねえ』と相当困った対応をしているんです。でも、やっぱりコロナっていうのは国民みんなが怖がっている。不安に思っている。自分の考えていることが届いてないって思ってる。それに対するリスクコミュニケーションの失敗っていうのがものすごく大きかったと思うんだけども、その話をしようとしても、いきなりそこで『いや、もう私、結果がすべてだと』って言われちゃって、それ以上話が広がらなかった。これがやっぱり菅内閣の本質だったかなあという感じがしますね。」
吉崎氏は他にもこの文藝春秋のインタビューの受け答えから菅首相の数々の問題点を指摘したが、その一方でこんな点にも注目した。
吉崎氏「ただ、ご本人がこだわっていた『結果を出す』ということに関してみると、1年間でこれだけたくさんの仕事をした内閣って、ちょっと前例が無い位かな?と。その例として1番目は『ワクチンの接種体制を作り上げた』。1日100万回体制なんて絶対無理だと思っていたけれども、昨日ぐらいで国民の5割を超えました。2番目は『オリ・パラを実施した』。それも事故が無かったってことですよね。3番目は『カーボンニュートラルの宣言』。2030年に二酸化炭素排出量46%削減という目標について私は色々言いたいことがあるんですが、ただこれは大きな、歴史的な決定だと思います。4番目は『デジタル庁の創設』。これは甘利税調会長が言っていたように、たった1年間で作って凄いな、と。」
吉崎氏はさらに『外交』や『福島のトリチウム水の処理決定』、『携帯料金の値下げ』など、菅首相が成し遂げた10個もの仕事を挙げて評価した。
吉崎氏「こうやって振り返ってみると、1年間にしては物凄い仕事をしたんだな、と。だからご自身的にはわりと納得感があるんじゃないかなと思います。逆に国民の側からすると、この1年間、我々菅内閣を使い倒した。だから『仕事中毒内閣』だったのかな、と。ただ、あまりにも国民の評価が低くて、もうちょっと経つと『意外とよくやったんじゃない?』という声がこの後出てくる可能性もあると思います。」
次はちょうど100代目の内閣総理大臣の誕生となるが、そこに菅首相の仕事・置き土産がどんな形で継承されるのか、この後2週間の総裁選挙の中で議論されていくだろうと、吉崎氏は締めくくった。
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。吉崎達彦氏はコメンテーターとして毎週火曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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