近く新政権樹立のタリバンとどう付き合うべきか?…佐藤優氏が解説〜9月3日「くにまるジャパン極」
共同通信によると、アフガニスタンの実権を握ったイスラム主義組織タリバンの幹部は9月2日、最高指導者アクンザダ師を頂点とする新政権を近く樹立すると明らかにした。各国は政権を承認するかどうか厳しい判断が迫られている。タリバン政権と各国はどう付き合っていくべきか?元外交官で作家の佐藤優氏は9月3日放送の「くにまるジャパン極」(文化放送)で、独自の見解を述べた。
佐藤優氏はイスラム主義組織、タリバンと過激派組織、イスラム国(IS)がどんな関係にあるのか?説明した。
佐藤氏「今、基本的な構造は、タリバンとISの間で合意が結ばれているのですね。タリバンが政権を取っても、タリバン政権にISは参加しない。その代わり、いくつかの地域を抑えているんですよ。そこに関してはタリバンは干渉しない。そこからISは外国に対してテロ活動を支援する。目標はお互いイスラム革命。すなわち、神様は1人だから、それに対応して1つの法律、1つの帝国を作る。アフガニスタンという拠点を作るのは、タリバンの仕事、世界に広げていくのはISの仕事。こういう住み分けです。」
この関係は、1920年代のソ連とコミンテルンの関係に似ているという。
佐藤氏「ソ連という国がある。日本やアメリカなどと外交関係を結んで、お互いの国家主権を尊重します。ただしモスクワにはコミンテルン、共産主義インターナショナルがあるんですね。それが各国に支部を持っているんです。例えば、日本なら日本共産党、ドイツならドイツ共産党。その支部に命令を出してお金を送って、要員を訓練して、必要に応じて武器を送って、それで革命運動をする。」
では、タリバン政権の国家作りはどうなっていくのか?
佐藤氏「神の代理人のカリフが統治する、こういう話になりますから、女性の権利も制限されるし、盗みをしたら手を切る。不倫をしたら石打ちの刑。そういう風になるでしょうね。新政権は、武器ビジネス、麻薬ビジネスでお金は持ってます。世界イスラム革命を行っていくために使っていくでしょう。アフガニスタンの民政の向上にタリバンは関心がないと思います。せっせと武器を買って世界でテロの準備をしてアフガニスタンみたいなところを広げていこう。こうゆう風に考えているでしょうね。極めて危険です。」
こうした状況の中、世界の国々は、タリバンとどう付き合うべきか?
佐藤氏「あまりこういう所と付き合わないほうが良いんです。接点が少なければ摩擦も少ないので。それから、ロシア、中国、イランと協力しないといけない。そうしないと封じ込められないですから。本当に怖い話になってきてます。」
佐藤氏はこのようにアフガニスタンの現状への不安を語った。
<参考ニュース>
【イスラマバード共同】
アフガニスタンの実権を握ったイスラム主義組織タリバンの幹部は2日、最高指導者アクンザダ師を頂点とする新政権を近く樹立すると明らかにした。20年続いた戦乱からの復興には国際社会の支援が不可欠。各国は政権を承認するかどうか厳しい判断を迫られる。政権運営は混迷必至で、市民生活がさらに困窮する恐れがある。
アフガンでは駐留米軍の撤退で力の空白が生じている。米国がテロ指定する最強硬派の入閣が予想されるが、国際社会が新政権と関係構築を図らなければ、アフガンが「テロの温床」に逆戻りする懸念は強い。
(共同通信ニュースより)
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「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。佐藤優氏は第1・第3・第5金曜日にコメンテーターとして登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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