持ち家の税金、払いすぎている?! 固定資産税の価格、本当のところはどうなんですか?(おとなライフ・アカデミーWEB)

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今を楽しく生きるオトナ世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。

この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年8月7日の放送は、固定資産税について悩むリスナーさんからのメールをご紹介。固定資産税の決め方にはミスも多い、という識者の言葉を聞き、自分も税金を払いすぎているのでは・・・? と不安になってきている「競馬大好きな高額納税者さん」。実際のところはどうなのでしょうか。

固定資産税の評価額ミスは、日本中いたるところにある?!

今回は、持ち家にお住まいの方が払う「固定資産税」について、リスナーの方からご質問をいただきました。

毎週、東京新聞に掲載されている、この番組でもおなじみの、
三木義一先生のコラムを楽しく拝読しています。
このところ、三木先生が続けて取り上げているのが、
固定資産税の問題で、「評価額ミスは日本中いたるところにある」
「だいたい3年ごとにきちんとした評価替えなど無理」
「みんなが自分以外の評価額を見て比較し出したら大変なことになる」
「地価が下落しているのに固定資産税税収は落ちていないのはおかしい」
など、ショッキングな内容が。
私も建売住宅の持ち主として、どうも心穏やかではいられません。大垣先生のご意見もお聞かせください!

(競馬大好きな高額納税者さん・68歳・男性)

三木先生は、私の勤務する青山学院大学の学長です。専門は法学で、特に税金についての研究では大家と呼ばれています。

この番組でも、ゲストに3回ほどお呼びしてお話をうかがっています。

三木先生のコラムは、厳しい論調が特徴

さて、ご質問なのですが・・・。

三木先生って、固定資産税の話大好きなんですよね(笑)。結構な頻度で、厳しい論調で指摘をされています。

たとえば、リスナーさんが指摘していただいた内容以外にも、「評価額が正しいかどうかは住民には分からない」とか、「自治体の希望を忖度した価格を付けていないか」とかですね。

庶民の味方の三木先生。今後、制度が改善していく可能性も大いにアリ

三木先生って、言うなれば「御用学者の正反対」みたいな人なんです。
実際、先生が問題視したことで改善した税制度ってたくさんあります。

なので、固定資産税についての指摘も、基本的に間違ったことはおっしゃっていないのかな、とも思っています。

ただ、固定資産税がなぜ、今のような価格の決め方をしているのか。その理由を考えてみることは大切なことだと思います。

日本全国すべての建物の価値を決めるのは大変な仕事

まず最初に、固定資産税を決めるのって結構大変なんです。国税庁の肩を持つわけではないんですが(笑)。
なにしろ、日本中の全ての宅地について、一つ一つその価値を決めるわけですから。

ちなみに、固定資産税の基準となる価格を決めるためには、「不動産鑑定士」という国家資格が必要なのですが、これは弁護士や公認会計士と並んで、「日本三大国家資格」と呼ばれるほどの難関資格です。

不動産鑑定士さんの中で、物価の安い地方にお住まいの方なんかは、この仕事をするだけでも十分に暮らしていけるぐらい、大変な仕事なんですよね。

刻一刻と変わる地価に対応できない固定資産税

宅地の価値は3年に1度しか更新されないわけですが、「毎年するのは大変すぎるから、仕方がない」と考える人が多いんですよね。

もちろん、地価は刻一刻と変わっていくわけですから、3年間の間で実情を反映していない価格になってしまうこともあるわけです。

それから、固定資産税はもともと「今、この土地に同じような家を建てると、このぐらいの価格になる」という金額を元に決定されています。

ですので、「買ったときの値段と全然違う」とか「売却査定の値段と全然違う」と思われる方は多いんだろうな、と思います。

個別のケースに対応できない点は、固定資産税の問題として挙げられそうですね。これから改善していくのかもしれません。

固定資産税、価格はどうやって決める?

ちなみに、固定資産税がどのような経緯で決定されるかについては、一般財団法人「資産評価システム研究センター」が詳しいパンフレットを発行しています。

こちらのページから、パンフレットを見ることができるのですが・・・。

少し中身を見ていただくと分かるんですが、かなり厳格なルールがかっちり決まっているんです。

適当に鉛筆を舐めて、そのときの気分で価格を決めているのでは決してなく、一番実情に見合った価額を付けられるように、皆さん力を尽くしておられるのではないかなと思います。

税金ってもともと、不公平なもの

最後に、そもそも論として、税はもともと、万人に公平な制度ではないんですよね。
土台、国が人からお金を奪うことですから、正しくなるようにできないというのかな。

もちろん、最初に言った通り、三木先生のご指摘によって改善された税制度は数多くあるんですよね。これから固定資産税が変化していくのか、注目してみていきたいところです。

三木先生のコラム、オンラインでも読むことが可能です

ちなみに、三木先生のコラムは三木先生が代表をつとめている団体「民間税制調査会」のサイト上にもアップロードされています。

気になった方はぜひ、チェックしてみてください。
というわけで今回は、固定資産税について考えてみました。

お知らせ

パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
また、皆さまの大切な我が家をケアするパートナーとして、入居者トラブルにも責任を持って対応しています。

JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

カウンセリングやご相談は無料。資格を持ったスタッフが、皆さまの家についてしっかりとお話をうかがいます。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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