子どもにとって新型コロナよりも心配なRSウイルスの存在 ~9月1日「ニュースワイドSAKIDORI」
9月1日(水)放送の「斉藤一美 ニュースワイドSAKIDORI」(文化放送)
「SAKIDORIクリニック」で吉田たかよし医師が、幼児にとって脅威となるRSウイルスの怖さについて解説した。
「斉藤一美 ニュースワイドSAKIDORI」(文化放送)の「SAKIDORIクリニック」に心療内科「本郷赤門前クリニック」院長で医学博士の吉田たかよし氏が出演。
『子どものコロナ感染に気付くため、親が出来るチェックポイント』について解説した。
吉田たかよし氏のクリニックでも親から相談を受けることが増えてきたそうで、現場の医者として強く実感しているのは、子どものコロナ感染で誤解している人がとても多いということだという。子どものコロナウイルス感染で最も懸念されるのは、家庭で子どもが親に感染させて重症化することであって、子ども自身が重症化するケースは少ない。デルタ株が広がり、子どもでも重症化するケースが増えてきたのは事実だが、10代の重症化率は40代の20分の1、60代の125分の1となっていて、他の世代と比較して高いわけではない。もちろん子どもでも糖尿病や腎臓病のような基礎疾患を持っている場合は、重症化のリスクはあるので、そこは気を付けて頂きたいという。なお感染の母数が増えているアメリカでは子どもの重症化も増加しているが、内訳を見るとやはり基礎疾患を持っている人が重症化する傾向が強い。
吉田たかよし氏は子供の死亡者が急増しているインドネシアのケースにも言及。インドネシアの医学部で熱帯病の研修を受けた経験もあり、現地の事情に詳しい吉田たかよし氏が強調したのはインドネシアの死亡者の3分の1が子どもであると一部で報じられているが、それは誤情報であるということ。
インドネシアで多くの乳児や幼児が死亡していることは確かなのだが、それは現地の医療事情によるところが大きい。特に諸島部には貧しい家庭が多いため、栄養不良の子どもが700万人もいるという。
新型コロナ感染拡大の前も、通常の風邪で毎月大勢の子どもが亡くなっているという現実があったわけで、元々の医療環境が日本のように整っていないということが社会インフラの根本的な問題として横たわる。
つまり「幼児の死亡が多い」という現実と「新型コロナウイルスで世界で多くの人が亡くなっている」というニュースが巷の風聞レベルで結びついて「インドネシアでは多くの子供が新型コロナウイルスで亡くなっている」という新たな誤情報を産み、拡散させていると吉田たかよし氏は解説する。
インドネシアの例を挙げたが、では日本の子どもたちの新型コロナウイルス感染については、どのようなことが懸念されるのか?
吉田たかよし氏は、特に9歳以下の子どもについて、親がしっかり見守るべきと強調した。と言うのも、基礎体力がついていない9歳以下の子どもは、重症化率が10代の子どもの2.5倍もあるのだ。それでも40代の8分の1だし、60代の50分の1ではあるものの、やはり気になる数字ではある。
そして実は、新型コロナよりも、はるかに心配なのがRSウイルスの存在だ。多くは発熱、鼻水の症状で、中には肺炎で呼吸困難を起こす。通常、9月から感染が拡大し、春先まで続く。今年はかつてない大流行中で、実は新型コロナよりRSウイルスの方がはるかに危険なのだ。
予防方法は手洗いとマスクの着用、新型コロナウイルスの予防とほぼ同じ。
「新型コロナウイルス」と「RSウイルス」同時に注意を払い、感染予防と子どもの体調不良の早期発見をして欲しいと吉田たかよし氏は力説する。
では具体的にどのように注意すれば良いのか?
まず見落としてはいけないポイントは陥没呼吸になっていないかどうかだ。幼児が肺炎などを起こす呼吸困難になった場合に起こる現象で、息をする際、喉ぼとけの下、鎖骨の上が陥没して凹んで見えるのが陥没呼吸。勢いよく息を吸おうとすると、骨が無い部分が引っ張られて陥没する。この場合、肺炎を起こしている可能性が高いので直ちに診察と治療が必要。
さらにその前段階で気づくためには、子どもが食事をとっている時に観察することだという。
大人は「味覚が無い」という異変に気付くが、子どもは気づかない。子どもの舌の味覚センターの感度は大人より高いのだが、それを認識する脳の側頭部の味覚中枢が未完成なため、「こういう味だ」と違和感無く受け入れてしまうのだという。
こういったことから、子どもは自発的に体調の変化を言葉にするのが苦手だが、一方で、食欲については体調不良が強くあらわれるという。つまり「味がない」と無意識に感じることで、自覚が無いまま食欲が低下する。RSウイルスを含め、ウイルスに感染した時にも胃腸の消化能力は低下するという。こういった現象は大人でも起こリうるが、特に子どもには顕著にあらわれる。
吉田たかよし氏はコーナーのまとめとして、大好きな料理を子どもに定期的に食べさせて、食べている時の表情や食べる量をしっかり観察することが大事だとした。
「たかよしクリニック」の結論は、「子どもの機嫌が悪くなるのは体調不良のSOSだ」ということ。今日からでも食事の際に「子どもの顔色」をうかがってみてはいかがだろうか?
『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
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