『鬼滅の刃』の主人公たちの着物の柄は「商標登録」できるのか?~楽しく知財を学ぼう!
30年を超えるコンサルタント歴の中で8000社を超える企業を見てきたNIコンサルティング代表の長尾一洋さんが、あるときは「孫子」の智恵を応用し、またあるときは「経営者としてのこれまでの経験」をもとにビジネスシーンでの課題をコンサルティングしていく番組・文化放送「孫子であきない話」(月19:30~20:00)
8月23日(月)は、知的財産権の専門家である弁理士の稲穂健市さんにお越しいただきました。
弁理士であり、米国公認会計士や科学技術ジャーナリストの肩書も持つ稲穂さんは、現在は東北大学特任准教授として学生に知財について教えると同時に大学自体の特許戦略に関する仕事をされています。夏休みを利用して、仙台銘菓「萩の月」をお土産にスタジオにお越しくださいました。
「知的財産権はとても身近なものなのに、一般的に知られていない。もっと気軽に笑いながら楽しく学んでほしい」という想いから、「楽しく学べる知財入門」(講談社現代新書)や「ロボジョ!杉本麻衣のパテント・ウォーズ」(楽工社)など数多くの本を出版されてきた稲穂さんに、「中小企業の知財戦略」をテーマにお話を伺いました。
知財に関する基本の「キ」を学ぶ際は、権利の種類が何種類もあることが最初の壁になりがちですが「どう違うかを理解するとスーッとわかります」とのこと。まずは、書籍などで基本的なことを頭に入れたうえで、ビジネスにおける知財管理の重要性を考えていきましょう。
その際にいちばんに考えるべき大事なことは、自社にとって「何が知的財産であるか?」ということ。それがきちんと定まった上で、次の段階として「どういう形で保護をするのが最適か」を考えます。保護の形は、特許をとることだけではありません。
たとえば飲食店などの「秘伝のレシピ」は、特許の申請を出すことによって内容が公開されてしまいます。うまく特許が取れたとしても20年の保護期間の後はマネされ放題…ということにもなりかねません。つまり「秘密を守りたいがゆえに、あえて特許を取らない」という戦略もあるのです。
とはいえ、企業が競合他社との戦いにおいて「勝つ」ために必要な差別化の手段として「知的財産」を権利として守るということは、常に考えるべき大事な戦略の一つです。
知的財産権のひとつ、商標登録の世界では様々な「戦い」が繰り広げられています。
最近では、「鬼滅の刃」の主人公たちの着物の柄を集英社が商標出願したということが話題となっています。もともとは江戸時代からある柄ですから「識別力」がないと、いったんは拒絶されましたが、現在、集英社が反論中。今後、どんな結論になるのか注目していきたいですね。
商標権をめぐっては炎上する例も増えていて、「アマビエ」を商標登録しようとした電通がSNSなどネット上で「一人占めするのか!」とコテンパンに批判されて、出願を取り下げたという出来事もありました。企業にとっては権利主張に伴うレピュテーションリスクも気になるところです。
今回は、まだまだほんの入り口だけのご紹介でしたが、知財のことをもっと学んで、自社の戦略に活かしていきたいものです。
孫子の兵法にもこう書かれています。「善く戦う者は、不敗の地に立ちて、敵の敗を失わざるなり。」(勝利する軍は、まず負けない態勢をとり、敵を破る機会を逃さないものだ)負けないため、そして敵に勝つための知財戦略の重要さを、改めて稲穂さんに教えていただきました。
番組では、お便りを募集しています。採用されたらQUOカード1000円!
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