吉住、ヒコロヒーインタビュー「『同じ』だけど『真逆』な二人。」
今年4月から『大竹まこと ゴールデンラジオ!』の木曜レポーターに加わった吉住さん(写真左)とヒコロヒーさん(写真右)。「同い年」で「ピン芸人」という共通点のある二人に、ラジオで喋る楽しさについてお話をうかがいました
※こちらは文化放送の月刊フリーマガジン「フクミミ」2021年9月号に掲載されたインタビューです。
毎週の「宿題」に震えあがる
― まず、番組から出演のオファーが来たときの心境を教えてください。
ヒコロヒー うれしかったです。
吉住 私もうれしかったですね。ただ、事前の打ち合わせをしたときに「あ、これは意外とがんばらないとダメなやつだな」と気づきました(笑)。毎回「宿題」があるんです。
ヒコロヒー 金曜レポーターのどぶろっくさんが毎週新ネタを披露してるんですけど、木曜日に隔週で出演している私たちも新ネタを披露するんです。それをスタッフさんから聞いたときは震えあがりました。どぶろっくさんが新ネタをやってはるんやったら、「わしらにはできません」とは言えんなと(笑)
― 4月からの出演を振り返って、感触はいかがですか?
吉住 正直、まだ掴みきれてない感じです。(100 点満点で)15 点ぐらい。私、ツッコミができなくて。
ヒコロヒー そうなん?
吉住 はい。大竹(まこと)さんたちが喋っていて、ツッコミどころがあっても、小声で「ふふっ」って。
ヒコロヒー 伝わりづらい(笑)
吉住 これまで2 回ぐらいヒコロヒーさんと一緒に出演させていただいたことがありましたけど、ヒコロヒーさんが「なんすかそれ?」って、ツッコミをバンバン入れていて、「なるほど、こうやるのか!」と。
ヒコロヒー (笑)。ただ、ツッコミが吉住の良さになるかどうかはわからないから、「ふふっ」っていうのを極めていくのもオモロいと思うけどね。
「ラスボス」と「岩石」な二人
― お二人はお互いのことをどんな人だと思ってらっしゃるのでしょうか?
吉住 すごく魅力的な人だと思ってます、って本人を目の前にして言うのも恥ずかしいんですけど(笑)。私は昔コンビを組んでいた時期があって、解散後もピン(一人)になるつもりはなくて、また誰かと組みたいと思ってたんです。ただ、舞台には立っておきたくて、ピンで活動を始めたとき、先輩から「女のピンはヒコロヒーっていうのがいるから、結構きついと思うぞ」って。
ヒコロヒー そんな魔王みたいな存在ちゃうから(笑)
吉住 ラスボスみたいな感じ(笑)。当時から芸人の間でも面白いと評判でしたし、今のご活躍を見ててもやっぱりそうですよね。文才もあって、考えていることを言葉にする力もあるから、ラジオにもすごく向いてらっしゃるなと。すみません、偉そうに。あと、一人称が「わし」っていうのも好きです。
ヒコロヒー 吉住は「闇を抱えている」ってよく表現されてますけど、「闇」というほど嫌なものじゃないというか、「岩石」みたいなイメージですね。吉住の中にゴツゴツしたものがある。その岩に触れてみたくなる。そこが面白いと思うんです。見た目は柔和じゃないですか。でも時々ぽろっと、めっちゃきついことを言うし。
吉住 言いますね(笑)
ヒコロヒー それがコントにも生きていて、面白いなと思います。二人とも一人コントをするから、比べていただくことも多いですけど。
吉住 「女」「一人」「コント」というワードで、一緒のカテゴリーに入れられがちですよね。
ヒコロヒー もちろん違うところもたくさんあって、吉住のほうが人に優しい気がします。
吉住 私は真逆の印象ですね。ヒコロヒーさんのほうが優しいし、人と深く付き合える人なんだろうなと思ってます。私は人といても、すぐに自分の“巣”に戻りますから(笑)
ラジオでの「言葉」を楽しむ
― 先ほど「言葉にする力」というお話がありましたが、ラジオでの言葉の使い方について何か気をつけていることはありますか?
ヒコロヒー これは大竹さんや光浦(靖子)さん、小島(慶子)さん、大久保(佳代子)さんを見て学ばせていただいたことなんですけど、本当に皆さん、目に映っている全てのものをきちんと言葉にされているなと。「なんだこの宣材写真は! 髪型が~ 」とか、聴いている方がちゃんと想像できるように、ディテールを全部言語化して伝えてらっしゃって。
吉住 例え話でも、聴いている方に一瞬で伝わるような言葉選びをされていますよね。あと、「ここは誤解をされてしまうかもしれないから、この言葉を添える」という、真意を伝えるためのジャッジも早いなと。
ヒコロヒー 『ゴールデンラジオ!』は毎回、「大竹さんたちに会えて楽しい!」ぐらいのノリでスタジオに入っています。もちろん仕事として芸を学ばせていただく気持ちもあるんですけど、それとは別に、大竹さんたちの掛け合いを聴いているときはリスナーの皆さんと同じ気持ちになっている感じがします。大竹さんたちが「昔、こんな映画があってね」とか、「あの作家がこういうことを言ってて」とか、さらっと喋ってくださることでいろんな知識や教養に触れられるのが、このラジオの面白いところなのかなと。
吉住 たしかに、自分がリスナーになって、喋っている方の人生を分けてもらっている感覚になるときがありますね。
ヒコロヒー 哲学みたいなものが漏れるときがあるよね。
吉住 はい。それがすごく面白いなと。
― 最後に、今後に向けた抱負をお願いします。
ヒコロヒー この番組のレポーターは歴代いろんな先輩方が担当されてきて、自分にとっては「由緒ある枠」というイメージがあります。『ゴールデンラジオ!』を長年聴いてくださっているリスナーの皆さんに、まず受け入れていただけるように少しずつ馴染んでいきたいというのが当面の目標ですね。
吉住 私は15 点から、30 点、50 点という感じにしていきたいです。そのためにも軽快なツッコミができるようになりたいですね。
ヒコロヒー そこは無理せんでええねん(笑)